2013 Fiscal Year Research-status Report
魚類コラーゲンの架橋形成機構の解明ー各LH分子種の水酸化作用部位と発現特性の解明
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24580306
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
横山 芳博 福井県立大学, 海洋生物資源学部, 教授 (90291814)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細井 公富 福井県立大学, 海洋生物資源学部, 講師 (70410967)
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Keywords | コラーゲン / リジルヒドロキシラーゼ / 架橋 |
Research Abstract |
魚類のコラーゲンは哺乳類のコラーゲンと比較して、酸に対する溶解性が極めて高く、化学的に不安定である。その原因の1つとして、分子間架橋の量や質が異なることが予想される。哺乳動物において、コラーゲン分子の架橋形成初期段階の反応を触媒すると考えられているリジルヒドロキシラーゼ (LH) には、3種類の分子種が確認されている。魚類のLHに関する知見はほとんどなかったが、本研究室におけるトラフグおよびコイのLH分子種発現解析の結果、LH2発現量の高低が、コラーゲンの不安定性に深く関わっている可能性が示された。魚種により、酸に対するコラーゲンの溶解性は大きく異なることから、平成24年度には、魚種の中ではコラーゲンの酸可溶性が極めて低いアナゴを用いて、LH1のクローニングを行った。平成25年度はさらに、アナゴLH2に加えて、魚類の中ではコラーゲンの酸溶解性の高いヒラメからもLHのクローニングを試みた。また、発現解析における内部標準遺伝子のEF-1αのcDNAクローニングも併せて行った。 アナゴcDNAを鋳型にLH2およびEF-1αに対する縮重プライマーから、それぞれ490bpおよび370bpのcDNA断片を得た さらにヒラメcDNAを鋳型にLH1およびEF-1α縮重プライマーから、それぞれ496bpおよび514bpのcDNA断片を得た。近隣結合法による系統樹を作製した結果、それぞれの断片配列が目的の遺伝子群より構成されるクラスター内に納まり、目的の断片が得られたことが明らかとなった。今後、さらに各LH分子種のmRNA発現量を検討するとともに、コラーゲンの酸溶解性を検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リジルオキシターゼ(LH)は複数の分子種よりなるファミリー分子である。昨年度は魚類の中では最も筋肉由来コラーゲンの溶解性が最も低いものの一つであるアナゴからLH分子種のcDNAクローニングを試み、LHファミリー分子の一つであるLH1のcDNAクローニングに成功した。今年度はさらにアナゴよりLH2およびEF-1α(内部標準遺伝子)のcDNAクローニングに成功した。さらに、魚類の中ではコラーゲン酸溶解性の高いヒラメよりLH1およびEF-1αのcDNAクローニングを行った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度までの研究によって、魚類の中で最も筋肉由来コラーゲンの酸溶解性が低いアナゴからLH1およびLH2 cDNAのクローニングに成功した。また、魚類の中でも酸溶解性の高いヒラメよりLH1のcDNAクローニングを行った。また、発現解析における内部標準遺伝子であるEF-1αを得た。今後は、発現解析と並行して、さらに他のファミリー分子のクローニングを試みる。LH2は、コラーゲンのNまたはC末端のテロペプチド領域においてリジン残基の水酸化に関与するのではないかと予想される。一方、LH3に関してはその機能は今回目的とするコラーゲンの酸溶解性に影響する架橋形成反応とは直接関係がないことが予想される。そこで今後は、特にヒラメLH2分子のcDNAクローニングに注力する必要がある。これまでのところ、ヒラメからLH2の分子情報は得られていない。発現量の問題があるのかもしれないことから、魚類の中でも筋肉由来コラーゲンの酸溶解性が比較的高いコイについてもLHファミリー分子のcDNAクローニングを試みる。 また、遺伝子クローニングおよび発現解析と並行して、各種魚類コラーゲンの酸溶解性を測定し、架橋形成とコラーゲンの酸溶解性との関連を検討する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
コラーゲン抽出用資材の納品が間に合わなかったため。 平成26年度にコラーゲン抽出用資材を購入予定。
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Research Products
(3 results)