2013 Fiscal Year Research-status Report
「農超対接」による新たな中国生鮮食品サプライチェーン形成の実態と意義に関する研究
Project/Area Number |
24580322
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小野 雅之 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (90224279)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
呉 軍 流通経済大学, 経済学部, 准教授 (30326798)
坂爪 浩史 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (80258665)
|
Keywords | 農超対接 / 中国 / 生鮮食品 / サプライチェーン / 農民専業合作社 / 超市(スーパー) / 国際情報交換 |
Research Abstract |
1.本研究は,2008年以降,中国政府が推進している農産物流通の新しい携帯である「農超対接」(スーパー・外食企業などと農民,農民専業合作社や野菜生産企業なととの間での直接取引)に着目し,それによる新たな生鮮食品のサプライチェーンの意義と今後の発展可能性,中国生鮮食品流通に及ぼす影響について,実態調査に基づいて実証的に明らかにしようとするものである。 2.2013年度には,前年度に引き続き「農超対接」に関する中国政府の政策や全国的な進展状況,中国における研究の進捗状況など,研究に必要な基礎情報を中国側の研究協力者と連携して収集・検討した。特に,前年度の農民専業合作社の調査において明らかになった,スーパーが徴収する高額の「進場費(または通道費)」(新製品の陳列手数料,新店舗オープン支援料,イベント協賛費など)が農民専業合作社にとって大きな負担となり,「農超対接」の制約要因となっていることを踏まえて,中国政府の「農超対接」推進政策について検討を行った。その結果,2010年の商務部・農業部指導意見及び2012年の商務部通知によって,農民専業合作社などからの「進場費」をはじめとする費用徴収が禁止されるとともに,代金決済期間の短縮など取引慣行の改善を図る指導が行われたことが明らかになった。このような政府の政策が,農民専業合作社による「農超対接」にとって効果を発揮したことが,2014年3月に実施した山東省の農民専業合作社の実態調査によっても,部分的にではあるが確認された。 3.また,「農超対接」が既存の生鮮食品流通に及ぼす影響について,青果物卸売市場の流通業者を対象に調査を行ったが,調査の限りにおいては影響は確認できなかった。ただし,この点については,引き続き調査によって確認する必要がある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は,「農超対接」の制約要因となっているスーパーの取引慣行について,中国政府が2000年代半ば以降進めてきたスーパーの「進場費」など「優越的地位の濫用」に対する規制政策と,そのもとでの「農超対接」における取引慣行改善対策の情報収集・検討に主眼をおきいた。政策分析については成果がえられたが,その効果を検証すべく実態調査を行ったが,調査サンプルの少なさや,種々の制約によってスーパーの調査を行うことができず,十分に検証することができなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.引き続き,「農超対接」に関する中国政府の政策や全国的な進展状況,中国における研究の進捗状況など,研究に必要な基礎情報の収集・検討を中国側の研究協力者と連携して進める。 2.「農超対接」の進展状況を確認するとともに,政府の政策の効果を検証するために,農民専業合作社,スーパー等の実態調査を継続して実施する。 3.生鮮食品サプライチェーンとしての「農超対接」の特徴と,生鮮食品流通に及ぼす影響を検証するために,産地卸売市場および消費地卸売市場の実態調査も実施する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額が生じた主要な要因は,中国政府等の資料翻訳を担当する大学院生の研究上の理由から翻訳作業が遅れ,人件費・謝金の請求・支払が次年度に持越になったことによる。 今年度においては,次年度使用額(繰越額)と次年度研究費を合わせて,主として実態調査旅費,資料翻訳等謝金として使用する。
|