2013 Fiscal Year Research-status Report
少子高齢化社会における食料品アクセス問題の動向とその解決方策に関する研究
Project/Area Number |
24580342
|
Research Institution | Policy Research Institute, Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries |
Principal Investigator |
薬師寺 哲郎 農林水産省農林水産政策研究所, その他部局等, 研究員 (20356306)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 克也 農林水産省農林水産政策研究所, その他部局等, 研究員 (20371015)
浅川 達人 明治学院大学, 社会学部, 教授 (40270665)
岩間 信之 茨城キリスト教大学, 文学部, 准教授 (90458240)
田中 耕市 茨城大学, 人文学部, 准教授 (20372716)
|
Keywords | 食料品アクセス / フードデザート / 買い物難民 / 食料消費 / 食品摂取 / 店舗への距離 |
Research Abstract |
マクロの動向分析については,食料品アクセス状況の将来予測のための方法の検討を,東日本大震災の影響をどのように処理するかに焦点を当てて行った。 ミクロの動向分析については,今後高齢化の進展によりアクセス条件の悪い高齢者が急増するとみられる都市部2地域において,現地調査を行った。調査地は,大都市近郊団地である東京都西部のURの団地(A団地)と地方都市近郊団地である茨城県中部の団地(D団地)である。調査内容は,食料品店舗へのアクセス状況,食料品の買い物の苦労の有無,食品摂取の状況等である。なお,D団地については,翌年度行う予定の解決方策の検討に役立てるため,地域内で活動しているNPO法人(閉店した生協を引き継いで,食料品の販売や様々な活動を実施)に対して住民が有している意識についても併せて調査した。 食品摂取については,食品摂取の多様性得点により状況を把握した。この得点は,「肉類」,「魚介類」,「卵」,「牛乳」,「大豆・大豆製品」,「緑黄色野菜」,「果物」,「芋類」,「海藻類」および「油脂類」の10食品群のうち,ほぼ毎日摂取している品目群の数で表すものである。その結果,A団地では,若年層の方が高齢者層よりも得点が低いという結果となった。もし,これがコーホートの効果によるものであるとすれば,高齢者の栄養状態は今後も悪化することが懸念される。一方,食料品の買い物での不便や苦労がこの得点に影響しているかどうかを回帰分析により明らかにした。その結果,買い物に不便や苦労をしている住民は,有意にこの得点が低くなるという結果となった。このことから食料品のアクセス制約が食料消費に悪影響を与えている可能性が指摘できる。 このほか,毎日の食事の準備で,生鮮品を調理する頻度が高い住民は,この得点が高くなり,加工品依存が高い住民はこの得点が低くなる傾向が明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
食料品アクセス状況の予測手法の開発については,必要なデータ,必要な手法の検討を終えており,最終年度に実際に試算作業を行うことが可能な状況となっている。 コーホートに着目した現状分析と将来予測については,都市部における事例調査において食品摂取の多様性得点の年齢階層別の傾向が明らかになった。また,事例調査では,食料品へのアクセス制約が食品摂取の制約要因になっている可能性が明らかとなった。
|
Strategy for Future Research Activity |
食料品アクセス状況の将来予測については,全国規模での食料品アクセス状況の試算作業を行う。 今年度の事例調査で得た食品摂取に関するデータの分析を深めるとともに,茨城県中部の団地で得た食品摂取とNPO法人への評価に関するデータを分析するほか,更に現地調査を行い,この問題の解決に向けたコミュニティビジネスの可能性を検討する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2カ所で行った事例調査の経費節減(調査票印刷の一括発注,ポスティングにおける学生アルバイト活用など)に努めたため。 食料品アクセス改善の手法の一つとしての地域コミュニティ活用に関する分析のための現地調査の経費,および,最終年度として,これまでの分析を更に深め,成果をとりまとめる経費として使用予定。
|
Research Products
(2 results)