2014 Fiscal Year Research-status Report
少子高齢化社会における食料品アクセス問題の動向とその解決方策に関する研究
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24580342
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Research Institution | Policy Research Institute, Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries |
Principal Investigator |
薬師寺 哲郎 農林水産省農林水産政策研究所, その他部局等, 研究員 (20356306)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 克也 農林水産省農林水産政策研究所, その他部局等, 研究員 (20371015)
浅川 達人 明治学院大学, 社会学部, 教授 (40270665)
岩間 信之 茨城キリスト教大学, 文学部, 准教授 (90458240)
田中 耕市 茨城大学, 人文学部, 准教授 (20372716)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 食料品アクセス / フードデザート / 買い物難民 / 食料消費 / 食品摂取 / 店舗への距離 / 高齢者の健康 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.マクロの動向分析については,アクセス状況の予測を行った。これにより,生鮮食料品販売店舗まで500m以上で自動車がない高齢者が2010年の382万人から2025年には598万人に56.4%増加,食料品スーパー等へのアクセスについては,同644万人から814万人に26.4%増加,いずれも今後都市的地域で大幅に増加するという結果を得た。今後この問題は都市部で深刻度が増す可能性が高い。
2.ミクロの動向分析については,大都市郊外団地の高齢者の例について,食品摂取のあり方が食事の仕方(ひとりで食べるかどうか)や食事の志向性(バランスの良い食事を摂ることを心がけているかどうか)の影響を受けていることを明らかにした。さらに,食料品アクセス状況(買い物の苦労の有無),孤食傾向(ひとりで食べるかどうか),食の外部化指向,食品摂取の多様性,高次生活機能の自立度の間の因果関係をSEM(構造方程式モデリング)で分析した。その結果,女性については,買い物の苦労と孤食傾向が,外部化指向を高め,食品摂取の多様性を低めていることが明らかとなった。一方,男性については,孤食傾向が外部化指向を強める傾向が女性よりも強く,もっぱら中食に向かうほか,買い物の苦労は直接食品摂取の多様性を低めていることが明らかとなった。
3.解決方策の検討については,店舗の閉鎖に対し,住民自らが食料品の供給等に取り組んでいるひたちなか市の「NPO法人くらし協同館なかよし」の事例を分析した。その結果,この取組により住民の店舗へのアクセシビリティが大きく向上していることが確認できたが,食品摂取への影響などではいくつかの課題があることが明らかとなった。「なかよし」の特徴は高齢者ボランティアによる運営である。住民意識としては,ボランティア活動に関心のある住民も多く,また,実際に参加したいという住民もおり,今後の運営に明るい材料となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始当所に設定した3つの目的(マクロの動向分析,ミクロの動向分析,解決方策の検討)のそれぞれについて十分な成果を得た。また,成果をまとめた書籍を刊行した。
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Strategy for Future Research Activity |
実質的な研究は26年度までの3年間に終了しており,今後は成果の普及に努める。
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Causes of Carryover |
研究成果をまとめた書籍が26年度中に刊行できない場合を考慮して研究期間を延長したが,実際には書籍が年度内に刊行でき,わずかな残額が次年度使用額となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究成果の公表等の経費として使用する。
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Research Products
(9 results)