2013 Fiscal Year Research-status Report
夏播きカバークロップと不耕起播種による春コムギ初冬播き栽培体系の改善
Project/Area Number |
24580363
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
平田 聡之 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 助教 (60281797)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 肇 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (30183148)
片岡 崇 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (40231253)
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Keywords | 春コムギ / 初冬播き / ヘアリーベッチ / 不耕起 / 養分動態 / トラクター走行性能 / けん引力 |
Research Abstract |
本年は、圃場およびポットにおける収量試験、トラクターのけん引力の測定を中心に行い、また幼苗の越冬能力の解析もあわせて行った。 1)圃場試験では、昨年度に比べ、立毛数と収量が低下した。特に不耕起散播区では立毛数が著しく低く、廃耕とした。そのため、コムギ実生の生存について、ヘアリーベッチのアレロパシー試験および越冬時の生存率の追加試験を行なった。その結果、ヘアリーベッチの存在下において初期生育が抑制され、積雪下の生存率の低下を認めた。このことから、ヘアリーベッチを導入した栽培体系では、コムギの生存率の向上させる必要があることが示された。 2)ポット試験では、ヘアリーベッチを添加した処理ポットでは、収量の増加が認められ、ヘアリーベッチ添加・早春追肥、N3kg/10aの収量は、標準追肥したポット(ヘアリーベッチなし、早春追肥 N9kg/10a)と同程度であった。また、15Nトレーサー試験では、コムギ植物体および子実にヘアリーベッチ由来の窒素の吸収が認められ、早春追肥が少ないほどその寄与が大きいことが示された。その他の元素については、現在解析中である。 3)トラクター走行性能試験では、耕起区に比べ、不耕起区で播種機のけん引力の増加が認められた。また、不耕起区では、早春播種時に比べ、初冬播き時にけん引力の増加が認められた。このことは、土壌水分と貫入抵抗に影響が大きいことが示唆された。この結果から、不耕起播種の作業効率においては、通常の早春播種のほうが初冬播きよりも有利であることを示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年の試験では、コムギ実生の生存率の調査を追加したため、ヘアリーバッチ栽培下における養分動態については解析が遅れている。その他の試験については、予定通り完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ポット試験における養分動態の解析を進めていく。ポット試験では、特に、ヘアリーベッチからの窒素養分の吸収を中心に調査し、その他、陽イオン(K+,Mg2+,Ca2+)の動態についても明らかとする。 圃場試験は、実生の生存率の低下が認められたことから、越冬時の生存要因の解析にむけた試験に切り替える。積雪下の死亡要因について、生理・病理な調査を行う。積雪下の調査になるため、申請年度内では全てが終了せず、今後継続していく。 走行性能試験では、前年度までに得られたデータを元に、江別市内の春コムギ圃場について土壌調査を行い、試験圃場の土壌状態と比較することにより、データの妥当性を検討する。
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