2013 Fiscal Year Research-status Report
未利用の小規模低落差に設置できる超小型水力発電装置の開発研究
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24580373
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
日吉 健二 宮崎大学, 農学部, 助教 (20325731)
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Keywords | 小水力 / 発電 / 再生可能エネルギー / 水車 / 空気吸込渦 |
Research Abstract |
本研究は,養殖水槽から排出される流水の落差エネルギーを電力の消費削減に活用することに着目し,超小型プロペラ式水力発電装置の開発研究を行うものである。空気吸込渦を除去するコーンと強い旋回流を形成するためのケージング,落ち葉などごみが絡みにくいゴミ通過ランナの形状について,高効率化を図ることを目標としている。 実験には当研究グループで開発した超小型水力発電用水車は立軸型プロペラ水車で,落差1~2m,流量30~60L/s,発電規模として100W~300Wのものである。プロペラの直径は150mm,ランナの枚数は3枚または6枚である。低コスト化のため,ランナブレードは2mm厚の鉄板をそり比5~10%に湾曲させたものである。実験は宮崎大学農学部の実験施設で行っている。 第1の研究では,水車内部の形状の最適化を行うため,水車内の流れの場を電磁式流速計とレーザー光源を用いたハイスピードカメラによる計測で,流速分布および流れの方向を解析した。空気吸込渦を除去するコーン(以下,コーン)があると場合とない場合で流速分布を解析した。コーン無の場合,水車内に流速のばらつきが大きく,ランナに近いところの流速が遅いことが分かった。一方,コーンを装着した場合,ランナ付近の流速が1.6m/s以上と速く,速い流速がランナを回転させるエネルギーとなり,水車効率の高効率化に起因していることが推察された。 第2の研究では,落ち葉などごみが絡みにくいゴミ通過ランナの形状について検討を行っている。水車内に模擬落ち葉を流して,3枚羽根と6枚羽根のランナを用いてゴミの通過性を観察した。3枚羽根の場合,ゴミが通過しやすくなるだけでなく,水車軸回転速度が増加し,発電電圧が上昇するため,発電電力が増加した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験用水車を作製し,水車内の流れの観察が可能となり,レーザー光源を用いた高速度カメラによる撮影や3次元電磁式流速計を用いた流速解析を行うことができた。流れの場の撮影に成功し,解析が可能になった。 また,ゴミ通過ランナの主な形状が明らかになったので,おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
水車形状の最適化の指標となる流速および流れの方向を,3次元電磁式流速計とレーザー光源を用いたハイスピードカメラによる計測で,コーンがあると場合とない場合で流速分布を5cmメッシュを2.5cmメッシュのように,より詳細に解析する。レーザー光源の当て方を工夫する。 ゴミ通過ランナの研究では,3枚羽根は6枚羽根に比べ,発電電力が大きいが必要な流量が増加し,流量が比較的少ない現場にとっては,設置に向かない。このため,6枚羽根でもゴミ通過できるランナまたは3枚羽根でも流量が少なくできるランナを開発する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
水車内計測のための可視化光源を購入したが,性能を下げることなく予想より低い価格で購入できた。また,消耗品(模擬落ち葉)も過去に購入したものを用いたため,次年度使用額が生じた。 今年度の実験で新たな形状のランナやコーンの試作して,実験を行うが必要性が生じた。次年度にこれらの研究を実施するために,次年度使用額が必要である。
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Research Products
(1 results)