2014 Fiscal Year Research-status Report
未利用の小規模低落差に設置できる超小型水力発電装置の開発研究
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24580373
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
日吉 健二 宮崎大学, 農学部, 助教 (20325731)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 小水力 / 発電 / 再生可能エネルギー / 水車 / 空気吸込渦 / 画像解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、養殖水槽や農業用水路から排出される流水の落差エネルギーを利用して、電力を発生させる超小型プロペラ式水力発電装置の開発研究を行うものである。 開発した水車は、水車上部で旋回流を形成し、縦軸プロペラを通過して垂直管から排水される。水車上部は自由水面を有しており、旋回流形成の際に、空気吸込渦が発生しやすい。このため旋回流中心部にコーンを水没するように設置すると、空気吸い込み渦がほぼ消滅し、水車効率が高くなる。そこで、その空気吸込渦の消滅および水車効率向上のメカニズムを解明するため、実験用水車を用いて、水車内部の流れを解析した。 初めに、3次元電磁流速計で2~3cmのメッシュの交点で、3次元方向の流速を計測した。メッシュ交点の実測値から1cmメッシュの流速分布を計算した。この結果、コーンなしの場合は、水車内部の最も速い場所で2.0m/sとなり、中心ほど流速が速かった。コーンありの場合では、コーンに近い水面付近では流速は遅いが、コーン下部付近から徐々に加速され、ランナの直前では2~3m/sに達していた。これはコーンなしの場合の2倍以上であった。 次にレーザー光源を用いた光速度カメラ撮影による画像解析を実施した。画像で流速を計測する場合、トレースと呼ばれるマーカーが必要であるが、水車内に混入する小さな気泡を追跡することによって、水車内部の流速の計測を行った。500分の1秒ごとに撮影した。画像解析にはMotionStudioおよびFlownizerを用いた。解析の結果、3次元電磁流速計同様の傾向が確認でき、3次元電磁流速計では測定できない部分の解析が可能になったり、電磁流速計では瞬間の流速は計測できるが、画像の場合は気泡を追跡できるので、水車内をどのような軌跡をたどったかが明らかにすることができた。カメラの導入は効果があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
内部が観察できる実験用水車を用いた。レーザー光源および光速度カメラを用いた画像解析によって、水車内部の流れの解析を行った。3次元電磁流速計で流速の分布を確認した。その後、光速度カメラを用いた画像解析で、より詳細な水車内部の流れの解析が可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
より多くの流れの条件、すなわち、流量や水車の回転速度など条件を変えて、内部流れの解析を可能とし、高効率な低コスト水車の設計に資するデータの蓄積を行う。また、ゴミ通過ランナの形状研究もさらに進める予定である。
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Causes of Carryover |
水車内部の流れ解析に対して、新たに高機能を有する画像解析ソフトウェアを導入する予定であったが、現在所有する画像解析ソフトウェアMotionStudioおよびFlownizerの機能を用いることで目的の解析が達成できた。このため未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
多くの流れの条件、すなわち、流量や水車の回転速度など条件を変えて、内部流れの解析を可能とし、高効率な低コスト水車の設計に資するデータの蓄積を行う。また、ゴミ通過ランナの形状研究もさらに進める予定である。次年度使用額はその実験のための測定機器や資材導入の経費に充てる。
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