2012 Fiscal Year Research-status Report
除染復旧農地の健全性を早期確認するための生物検定・マトリクスパッチ法の開発
Project/Area Number |
24580379
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
庄野 浩資 岩手大学, 農学部, 准教授 (90235721)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 生物検定 / 水ストレス / 温度ストレス / 塩害 / 環境応答 |
Research Abstract |
本年度は温度・水ポテンシャル勾配を実現する装置を試作し,それを用いて以下の3種の検討を行った。 1 温度・水ポテンシャルがクロロフィル蛍光のFast kineticsに与える2元的影響;実際の植物葉を用い,本方法により温度と水ポテンシャルが植物葉に与える2元的影響を測定可能か否かを検証した。測定した光合成活性の項目は,定常状態下におけるクロロフィル蛍光パラメータとは異なり,強光照射下におけるクロロフィル蛍光の挙動を高時間分解能で測定して得られる「Fast kinetics curve」を数値化した項目とした(いわゆるJIP test)。短時間に測定可能なJIP testの調査項目は,本方法の調査項目としても大いに有望であるため,今回はこれらの調査項目を用いて本方法の2元的測定を実行しその有用性を確認した。得られた結果から,本方法により実際に2元的環境応答が十分測定可能であることを確認した。 2 温度・水ポテンシャルが光合成活性に与える2元的関係の画像測定;これまでの実験では,光合成活性を点測定していた。この方法は一般的なクロロフィル蛍光測定装置で直ちに実行可能なため、装置全体を低コストに実現できるメリットがある反面,測定にかかる手間と時間が実用面で問題となる。そこで,光合成活性の画像測定が可能な二次元イメージング・クロロフィル蛍光測定装置を本方法の測定に適用して検討した結果、実際に測定の効率化が可能であることを確認した。 3 塩害検出手法への適用性の検討;実際に塩ストレスを負荷したインゲンマメ苗の葉温を3段階に制御し,塩ストレスが光合成活性に及ぼす影響に「温度がどの様に影響するのか」検討した。その結果,光合成活性の一部の調査項目に於いては予想以上に葉温が大きく影響したため,本方法による温度応答測定を通じて塩害の検出が可能であることを指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の当初予定では,生物検定に用いる指標作物の策定を中心に研究する予定であった。しかし,これまでの研究結果から,インゲンマメに指標作物として十分な適性があることが判明したため,まずインゲンマメを指標作物として実験に使用し,本年度は,温度・水ポテンシャル勾配を実現する測定装置の試作と本方法の実現可能性,さらには課題の検討に重点をおいて臨むこととした。 検討の結果,試作した装置によって本方法が十分実現可能なことを確認することができ,また,本方法を塩害検出に適用する際の有望性などの指摘を行うことができた。このため,今後は種々の生育阻害物質の影響の検出性能の検討など,より実践的な検討を行うことが可能となるなど大きな進展があった。一方,インゲンマメ以外の植物の指標作物としての適性は未検討であり,今後の継続課題である。 以上の状況から,おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,測定装置の試作とそれによる本方法の実現可能性の検討を優先して研究を進めたため,次年度以降は,本年度行う予定であった指標作物の選定を重点的に行うこととする。 具体的には,指標作物の選定を行うNaClに対する感受性を念頭におき,インゲンマメなどのNaCl高感受性作物が本研究における指標作物としての適性を有するかどうかを検討する。これらの中には,種々の環境変動に敏感な品目が多くあり,NaCl以外の物質に対する感受性も期待できる。このため,主にこれらを様々な生育阻害物質で汚染された土壌において試験栽培し,経時的な光合成活性等の実測から実際の感受性を評価しつつ,汚染土壌における生育速度などを加味して最適な指標作物を選定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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