2012 Fiscal Year Research-status Report
セルロース・ヘミセルロース加水分解菌の電位制御による発酵ビートトップ飼料創製
Project/Area Number |
24580384
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
高橋 潤一 帯広畜産大学, その他部局等, 名誉教授 (20111198)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 武弘 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (70343986)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | ビートトップ / 生菌剤 / セルロースバイオマ / TMR / 電位制御バイオリアクター / 導電性カーボンフェルト / 乳牛 |
Research Abstract |
1.供試ビートトップはビートトップチョッパーを設備するビートハーベスターで収穫した。収穫したビートトップはフレコンバックを用い、原物重量2%の混合生菌剤と混合し、水分調製剤としてビートトップに対して原物比で2:1の割合でビートパルプと混合して、全体の水分割合を60%に調製し、細断型ロールベーラーでロールベールに成型した。糖化発酵のために、2ヶ月間、20℃で貯蔵した。混合生菌剤のセルロース・ヘミセルロース加水分解能電位制御処理のために、導電性カーボンフェルト電位制御バイオリアクターを製作し、炭素フェルトへの菌担持による電位制御が混合生菌剤のセルロース・ヘミセルロース加水分解菌の活性化に及ぼす影響を検討する。 2.ビートトップに対する混合生菌剤のセルロース・ヘミセルロース分解及び糖化に対する混合生菌剤の電位制御効果について生成還元糖量より明らかにした。とくに、混合生菌剤の構成菌であるバチルス属の加水分解菌が、電位制御により賦活化することが明らかになった。菌叢解析については目下検討中である。 3.発酵ビートトップの保存性の検証 飼料の栄養価値、保存性等を解析するとともに、シュウ酸、硝酸態窒素、大腸菌群、マイコトキシン及び残留農薬について安全性を確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
導電性のカーボンフェルトを利用したバイオリアクターは当初の予算の範囲内で完成し、実際のビートトップを用いた性能試験についても予算の範囲内に収まり、当初の想定通り、カーボンフェルトに担持した混合生菌剤中のバチルス属の加水分解菌の能力は本バイオリアクターで電位制御可能であることが明らかになった。すなわち、加水分解性の評価は、破砕ビートトップスラリーに対して、そのpH値を調整することなく、電位印加によって最適なpH値と同様の効果が得られるように補償することを想定して設計した。従って、電位を印加しない場合の±0.5V(vsAg/AgCl)と印加した場合についての加水分解能は生成する還元糖濃度を比較して評価した。その結果、還元糖生成量は大きく異なり、本リアクターでは被処理物のpHをモニターし、それに応じて印加電位を調整することによって、最適な反応性を維持でき、ビートトップのセルロース・ヘミセルロース加水分解について想定通りの特性を発揮できると考えられた。しかし、菌叢解析は時間と予算の制約のため、今年度の検討課題として残った。ビートトップの収穫は実際のビート生産農家で実施し、水分調整のため、ビートパルプ用いて細断型ロールべーラーを用い、ロールベール成型を行い、混合生菌剤を混合して、2ヶ月間貯蔵して、発酵性状、還元糖、一般成分、アミノ酸、ミネラル等の栄養価に関する分析と蓚酸、硝酸態窒素、大腸菌群、アフラトキシン、残留農薬等の安全性試験を実施した。その結果、発酵性状は極めて良好で、反芻家畜用混合飼料(TMR)の構成飼料として保存性・安全性は全く問題ないことが確認された。これらの結果から、混合生菌剤により発酵保存したビートトップを酪農飼料用混合飼料(TMR)の構成粗飼料として安全に利用可能であることが証明された。これらの成果と課題から、表記区分の評価に至った。
|
Strategy for Future Research Activity |
電位制御バイオリアクターによる混合生菌剤の賦活化に関する基礎的な技術課題は今年度の成果によりおおむね達成されたが、実用化のための課題としてスケールアップした導電性バイオリアクターを用いたビートトップの加水分解の検討が必要である。また混合生菌剤により製造した発酵ビートトップは発酵性状、栄養価及び保存性・安全性は全く問題なく良好であるが、実際の家畜飼料としてTMRの構成飼料の用いた場合の家畜の利用性について実用化のためには嗜好性、給与飼料としての栄養価及び生産効果について検討を要する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度製造した発酵ビートトップを用いた動物試験について、めん羊を供試動物とした代謝試験を計画していたが、本試験の本来の目的は乳牛を対象とした混合生菌剤を用いた発酵ビートトップ入りTMR飼料の製造である。そのために、嗜好性、乾物摂取量及び乳生産に及ぼす影響を検討する事の方が、時間と効率的な研究費の運用に合致し、実用的なデータが得られると考えられる。次年度、実際の乳牛飼養農家の協力の目処が立ったため、めん羊の試験を変更し、供試乳牛10頭規模の乳牛の泌乳試験を実施する。研究成果は随時、学会発表と同時に、論文・著書に公表する予定である。
|
Research Products
(4 results)