2013 Fiscal Year Research-status Report
セルロース・ヘミセルロース加水分解菌の電位制御による発酵ビートトップ飼料創製
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24580384
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
高橋 潤一 帯広畜産大学, その他部局等, 名誉教授 (20111198)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 武弘 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (70343986)
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Keywords | 電位制御バイオリアクター / 繊維加水分解菌 / ビートトップ / 乳酸発酵 / TMR / 乳牛 / 印加電圧 / セルロース |
Research Abstract |
1.発酵ビートトップTMR乳牛泌乳試験 構成粗飼料の乾物50%相当量の発酵ビートトップを混合して、乳牛用TMRを調製した。対照区のTMR構成粗飼料はイネ科乾草のみとした。泌乳牛10頭を用い、試験区及び対照区各5頭宛、泌乳試験を45日間実施し、乳量及び乳質を評価した。また発酵ビートトップ及び発酵ビートトップTMRの安全性及び保存性については残留農薬検査、シュウ酸、硝酸態窒素、大腸菌検査及びマイコトキシンを検査した。発酵ビートトップTMRは対照区TMRより嗜好性が良好で、飼料摂取量は有意に(p<0.01)高い推移を示した。乳生産量は発酵ビートトップTMRの方が対照区TMRより有意に(p<0.01)高い値を示した。体細胞数はビートトップTMRは対照区TMRより有意に(p<0.01)低い値を示した。 2.電位制御バイオリアクターによるビートトップ加水分解試験 2-1. 電位制御バイオリアクターによる乳酸、低級脂肪酸(VFA)発酵試験…-0.1, -0.3及び-0.5VvsAg/AgClの印加電圧における乳酸及びVFA生成量を測定した結果、最も高い-0.3 Vで17,000mg/Lを示し,プロピオン酸で生成も高かったが、-0.5 Vでは乳酸発酵及びプロピオン酸発酵は阻害された。2-2.電位制御バイオリアクターによるグルコース酸化試験…見掛けの電流密度として10mA/cm2を達成することができ、電位制御バイオリアクターに用いた炭素繊維フェルトの活性化法が微生物電極として有効なものであることを確認した。2-3. セルラーゼを用いるビートトップ加水分解試験…‐0.3VvsAg/AgClについて乳酸発酵処理試験を行った結果、セルロース・ヘミセルロースの加水分解とそれに続く、乳酸、VFA発酵の適正電極電位は-0.3VvsAg/AgCl近辺であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度に試作した電位制御バイオリアクターの性能試験について乳酸・VFA発酵、グルコース酸化試験及びセルラーゼによるビートトップ繊維成分加水分解試験を実施し、電位制御バイオリアクターの適正印加電圧を検討した。その結果、-0.3VvsAg/AgClで最も高いセルロース加水分解と乳酸・VFA発酵を示し、平成24年度の試験結果を裏付ける結果が得られた。これらの結果から、導電性炭素フェルトに担持された供試生菌剤の加水分解酵素活性は‐3Vに印加電圧を調整することにより、増幅することが確認された。すなわち、本モデルを原理とする電位制御バイオリアクターは嫌気性繊維加水分解菌を適正な嫌気性に電位制御することが可能であり、未利用の農産物セルロースバイオマスに応用することが可能であることが証明された。しかし、電位制御によって活性化されるセルロース・へミセルローズ加水分解菌の同定にはPCR菌叢解析が必要であるが、想定外の分析機器補修費等のために予算が制約され、本科研費では断念せざるを得なくなった。次のステージに機会が得られれば、優先的に解明したいと考える。 生菌剤発酵ビートトップTMRの泌乳試験に関しては、民間の丸紅(株)、TMRセンター(酪研道東)、農業団体(十勝農協連)、酪農家の多大な協力を得、泌乳牛10頭を用いた実証試験を実施した。発酵ビートトップTMRの嗜好性及び生産性は極めて高く、しかも安全性、保存性に優れた酪農飼料として実用化できることが実証された。発酵に用いる微生物の繊維加水分解酵素活性の活性化により、より優れた発酵ビートトップTMR製造が可能であることが証明された。以上の成果とさらなる検討課題から、表記区分の評価に至った。
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Strategy for Future Research Activity |
ビートトップは典型的な北海道特有のソフトセルロース系農産物バイオマスである。酪農生産コスト低減と飼料自給率向上のために、未利用農業セルロースバイオマスを利用する飼料資源開発はわが国酪農業の喫緊の課題である。初年度(平成24年度)と平成25年度の試験結果から、電位制御バイオリアクターの特性は想定通りの能力を発揮し、嫌気性繊維分解菌の繊維加水分解能は本リアクターの電位制御により、賦活化できることが、証明された。また昨年課題とした発酵ビートトップTMRの乳牛用飼料としての実用化試験を実施することができ、 発酵ビートトップTMRが実用的で、乳房炎等予防等の機能性を有する、酪農飼料として優れた飼料であることが証明された。研究成果は随時、学会発表と同時に、論文・著書に公表する予定であるが、最終年度(平成26年度)は研究成果を纏め、文部科学省科学研究費基盤研究(B)平成20年度~22年度「反芻動物における温室効果ガス抑制効果を有する天然素材インベントリー」で作成したホームページ(https://a-gate.obihiro.ac.jp/~takahashikaken/,DanaInfo=tech.obihiro.ac.jp+index.html)にリンクを張って公表する。次年度の研究費はこのために使用する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に本研究結果を既存のホームページにリンクを張リ、公表するため、、ホームページを新たに更新する費用が生じるため。 本助成金の研究成果をホームページ上で公開するため、既存のホームページを新たに更新し、それにリンクを張る作業に生じる費用に使用する。
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Research Products
(12 results)