2012 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子発現量を基盤とした黒毛和種の不飽和脂肪酸に関与する遺伝子の探索
Project/Area Number |
24580409
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
大山 憲二 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (70322203)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本多 健 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (10432551)
万年 英之 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (20263395)
笹崎 晋史 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (50457115)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 黒毛和種 / 脂肪酸組成 / 遺伝子発現量 |
Research Abstract |
黒毛和種の育種改良は、脂肪交雑の追求から脂肪酸組成の改善へとシフトしつつある。本研究はバイオプシーにより黒毛和種の生体組織を採取し、遺伝子発現量を基盤として一価不飽和脂肪酸 (MUFA) 割合に影響を与える遺伝子を特定することを目的として実施している。 日本各地から集められた黒毛和種集団を高MUFA群と低MUFA群に分け、マイクロアレイによる網羅的遺伝子発現解析を行った結果、SPP1、LEP、MMP14、IGF1、FGF1、FGF2などの脂肪酸代謝に関与すると考えられる遺伝子の発現量に群間で違いが認められた。これらの遺伝子を対象として、マイクロアレイによる発現量とリアルタイムPCRによる発現量による比較を行ったところ、たとえば高MUFA群と低MUFA群との間に5.58倍の発現差が見られたSPP1では0.87の有意な相関係数が得られた。一方、FGF1およびMMP14では0.39(P = 0.07)および0.35(P = 0.10)の相関となり、群間の発現量にSPP1ほどの差がなかった遺伝子では発現解析における誤差の影響が示唆された。しかしながら相関係数はいずれも中程度の正であり、マイクロアレイとリアルタイムPCRの整合性を否定するものではなかった。 さらに別の黒毛和種集団を用いてリアルタイムPCRによる発現量とMUFA割合の関係を調査したところ、FGF1、MMP14およびSPP1の3つの遺伝子で0.56、0.41および0.40の中程度の正の相関係数が得られた。これらの遺伝子はMUFA割合に影響を与える候補遺伝子としてより詳細な検討が必要であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度に計画していた項目のうち、「網羅的発現解析による候補遺伝子の選出」と「リアルタイムPCRによる候補遺伝子の発現検証」はおおむね終了している。また別集団を用いた「新規サンプルを用いた発現解析」についても3つの遺伝子については検討を開始できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度はFGF1、MMP14およびSPP1の3つの遺伝子について検討を行ったが、その他の候補遺伝子についても同様の検討を行い、リアルタイムPCRによる発現量とMUFA割合の関連性を調査する。関連性が認められた遺伝子については、プロモータ領域に関する情報を収集し、小規模な集団を用いた当該領域のシーケンス解析により多型を探索する。多型の存在が確認できれば、頭数を拡大した集団解析に移行する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に使用予定の研究費は、前年度の未使用額5万円を加えた155万円である。このうち63万円は実験における試薬や消耗品に使用する。平成25年度は多型を探索するシーケンス解析や集団解析が中心となることから、それらに関する酵素試薬などを購入する。リアルタイムPCRでの発現解析用としてRNA抽出用試薬や逆転写酵素も購入する。また、PCRの利用が増加することから50万円をサーマルサイクラーの購入に充てる。その他、研究打合せおよび成果発表のために国内外の旅費と論文投稿関係費用として42万円を計上している。平成26年度は探索した多型の集団解析を計画していることから、同上の試薬類などが購入の対象となる予定である。
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