2012 Fiscal Year Research-status Report
選択用薬剤に依存しない遺伝子高発現細胞取得に基づく異種移植用クローンブタの作製
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24580411
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
佐藤 正宏 鹿児島大学, 医用ミニブタ・先端医療開発研究センター, 教授 (30287099)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三好 和睦 鹿児島大学, 農学部, 准教授 (70363611)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 異種移植拒絶関連遺伝子 / ブタ細胞 / α-Galエピトープ / 体細胞核移植 / EndoGalC / CD47 / DAF / トロンボモジュリン |
Research Abstract |
ブタからヒトへの異種移植には、移植時、超急性移植拒絶(HAR)を招く特定の糖鎖α-Gal(αガラクトース)エピトープをブタ細胞表面から除く必要がある。しかし、それだけでは足りず、HAR後に起こる急性、慢性移植拒絶を抑えるため、多遺伝子が導入された異種移植用多遺伝子導入クローンブタの開発が求められる。今回、独自に考案した選択用薬剤に依存しない多遺伝子同時高発現細胞の取得法と体細胞核移植法(SCNT)を駆使することにより、SCNT率を高め、その結果として、繁殖性の良好な極力移植拒絶を抑えた上記クローンブタの開発を目指す。 平成24年度は、IB4-SAP(α-Galエピトープを特異的に識別、結合するレクチンであるIB4にサポリン毒素が結合したもの)を用いて薬剤耐性遺伝子不在下で遺伝子高発現ブタ細胞の単離が可能かどうかについて検討した。 先ず、α-Galエピトープを消化できるEndoGalCをコードする遺伝子と緑蛍光タンパクをコードするEGFP cDNAを同時発現できるプラスミドベクターpCEIEndを構築する。このベクターをブタ胎仔性繊維芽細胞に遺伝子導入し、遺伝子導入後4-5日目(ベクターが細胞ゲノムに挿入された時期)細胞をトリプシン処理で回収する。次いで、これら細胞をIB4-SAPを含む液に懸濁し、3 h, 37℃にて加温する。その後、細胞懸濁液をそのまま新鮮培地を含む培養皿に入れ、10日間ほど培養する。 この過程で、IB4-SAPと結合した細胞(α-Galエピトープを発現)は死滅し、結合しなかった細胞(α-Galエピトープを発現しない;EndoGalC、EGFPが過剰に発現されていると目される)は生存し、強い緑蛍光を示すコロニーとなって増殖する。 この実験を通し、EndoGalC/EGFP高発現とα-Galエピトープ発現減退という逆相関性を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予想通り、EndoGalCが強発現されると、ブタ細胞表面のα-Galエピトープ発現は消失した。同時に、α-Galエピトープ発現を消失した細胞では、目的タンパクと奉じたEGFPの強い発現が認められた。これは、EndoGalC/EGFP高発現とα-Galエピトープ発現減退という逆相関性を意味するもので、既出の仮説が証明できた(この点は今年論文として出版することができた。Sato M, Akasaka E, Saitoh I, Ohtsuka M, Nakamura S, Sakurai T, Watanabe S: Targeted toxin-based selectable drug-free enrichment of mammalian cells with high transgene expression. Biology 2013, 2, 341-355)。 次に、「異種移植関連遺伝子を複数個内蔵する発現ベクターの構築と同ベクターとIB4-SAPとを用いて薬剤耐性遺伝子不在下で複数個の遺伝子の高発現がブタ細胞で可能かどうかについての検討」を行なうため、現在、異種移植関連遺伝子を内蔵したベクター系を構築している。
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Strategy for Future Research Activity |
異種移植関連遺伝子としてCD47抗原遺伝子(急性移植拒絶を抑えるタンパクをコード)、DAF遺伝子(急性移植拒絶を抑えるタンパクをコード)、TM遺伝子(慢性移植拒絶を抑えるタンパクをコード)をブタ細胞ゲノムに挿入することを考えている。なお、EndoGalC発現によるブタ細胞表面のα-Galエピトープ発現消失は、超急性移植拒絶を抑えるために必須の項目である。 これらの遺伝子を同時導入されたブタ細胞を作製する。 最終的に生存した細胞コロニーを拾い、CD47抗原、DAF、TMの蛋白が発現されているかをそれぞれの抗体を用いて、免疫細胞化学的に検討する。期待される細胞は、異種移植関連遺伝子としてCD47抗原遺伝子(急性移植拒絶を抑えるタンパクをコード)、DAF遺伝子(急性移植拒絶を抑えるタンパクをコード)、TM遺伝子(慢性移植拒絶を抑えるタンパクをコード)をブタ細胞ゲノムに挿入することを考えている。なお、EndoGalC発現によるブタ細胞表面のα-Galエピトープ発現消失は、超急性移植拒絶を抑えるために必須の項目である。 これらの遺伝子を同時導入されたブタ細胞を作製する。 最終的に生存した細胞コロニーを拾い、CD47抗原、DAF、TMの蛋白が発現されているかをそれぞれの抗体を用いて、免疫細胞化学的に検討する。期待される細胞は、α-Galエピトープ陰性、CD47陽性、DAF陽性、TM陽性となる。α-Galエピトープ陰性、CD47陽性、DAF陽性、TM陽性となる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品費:遺伝子工学実験、細胞工学実験、動物購入等の消耗品は、本研究遂行上必須である。 旅 費:国内の各種学会への発表・参加するための旅費と資料収集のための旅費も計上している。 謝金、その他:免疫組織化学、RT-PCR解析等は、その経験がある他の学外共同研究者に補助をお願いする予定である。また、論文作製のため論文の校閲とジャーナルへの論文投稿費を計上している。
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[Journal Article] CD81 and CD9 work independently as extracellular components upon fusion of sperm and oocyte2012
Author(s)
Ohnami N, Nakamura A, Miyado M, Sato M, Kawano N, Yoshida K, Harada Y, Takezawa Y, Kanai S, Ono C, Takahashi Y, Kimura K, Shida T, Miyado K, Umezawa A
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Journal Title
Biology Open
Volume: 1
Pages: 640-647
DOI
Peer Reviewed
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