2012 Fiscal Year Research-status Report
狂犬病ウイルスの自然免疫回避および病原性におけるP蛋白質アイソフォームの重要性
Project/Area Number |
24580424
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
伊藤 直人 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (20334922)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 / オーストラリア |
Research Abstract |
狂犬病ウイルスのP遺伝子mRNAからは、複数のP蛋白質アイソフォーム(P1~3蛋白質)が翻訳される。以前、私達は、強毒の狂犬病ウイルス西ヶ原株とその弱毒派生株であるNi-CE株の比較解析を行い、西ヶ原株のP蛋白質がウイルスのインターフェロン(IFN)抵抗性および病原性に重要な機能を果たしているのに対し、Ni-CE株のP蛋白質ではこれらの機能が減弱していることを報告した。しかし、どのアイソフォームが両株P蛋白質における機能的相違に関与しているのかは不明である。本研究の目的は、両株のIFN抵抗性および病原性の違いに関与するP蛋白質アイソフォームを特定し、その分子機序を明らかにすることである。 本年度は、当初の研究計画に従い、西ヶ原株のP3遺伝子領域をG-L遺伝子間領域に挿入したNi-CE株(Ni-CE+NiP3株)の作出を実施した。同様に、Ni-CE株のP3遺伝子領域を同様に挿入したNi-CE+CEP3株、西ヶ原株およびNi-CE株のP1遺伝子領域を挿入したNi-CE+NiP1株およびNi-CE+CEP1株についても作出した。次に、これらの株を接種した培養神経細胞(マウス神経芽細胞腫由来NA細胞)を用いて、挿入遺伝子のmRNAの発現を確認した。 また、Ni-CE株のゲノムに西ヶ原株由来のP遺伝子を保有する強毒のキメラウイルスCE(NiP)株に遺伝子操作を加え、P3蛋白質の発現レベルを低下させるような塩基変異を有するCE(NiP)-P3kd株も作出した。具体的には、P3蛋白質の翻訳開始コドンの強度を決定するKozak配列に変異を加え、これを消失させた。 NA細胞における各ウイルスの増殖態度を検討した結果、いずれのウイルス株も親株と同等の増殖能を有することが明らかとなった。これらの成績により、上記の遺伝子操作が狂犬病ウイルスの基本的な増殖能に影響を及ぼさないことが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の「研究実績の概要」が示すとおり、本年度は、P蛋白質アイソフォームの機能解析に使用する各種の組換えウイルス・変異ウイルスの作出に成功し、これらの増殖性を検討した。現在、P2遺伝子領域をG-L遺伝子間領域に挿入したNi-CE-NiP2株およびNi-CE-CEP2株の作出についても、その準備がすでに整っている。以上より、本研究は、現在に至るまで、当初の計画どおり進行していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の通り、本研究は、当初の計画どおりに順調に進んでいる。次年度以降も、当初の計画どおりに研究を遂行する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、共同研究者であるGregory W. Moseley博士(オーストラリア・モナシュ大学)を訪問し、研究討議を行うため、外国旅費の支出が予定されている。それ以外については、本年度と同様、消耗品の購入を中心に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)