2014 Fiscal Year Annual Research Report
狂犬病ウイルスの自然免疫回避および病原性におけるP蛋白質アイソフォームの重要性
Project/Area Number |
24580424
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
伊藤 直人 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (20334922)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 狂犬病ウイルス / P蛋白質 |
Outline of Annual Research Achievements |
狂犬病ウイルスのP遺伝子mRNAからは、複数のP蛋白質アイソフォーム(P1~3蛋白質)が翻訳される。P3蛋白質がインターフェロン(IFN)抵抗性に関与することが一部報告されているものの、これらのアイソフォームがウイルスの病原性にどのように貢献しているのかについては、不明なままである。本研究では、強毒の西ヶ原株と、その派生株で、P蛋白質機能の異常により弱毒化されたNi-CE株を用いて、自然免疫回避および病原性におけるP蛋白質アイソフォームの重要性を解明する。 H26年度は、Ni-CE株のゲノム上でP遺伝子を西ヶ原由来のものに置換した強毒のキメラウイルスCE(NiP)株を用いて、各種のアイソフォームの発現を欠損した変異株を作出し、その病原性の変化を検証した。具体的には、開始コドンがコードするMetをIleに置換することで、各アイソフォームの発現欠損変異株の作出を試みた。その結果、P1蛋白質欠損ウイルスを除く、P2およびP3蛋白質欠損ウイルス(それぞれP2KO株およびP3KO株)を樹立することに成功した。なお、P1蛋白質欠損ウイルスについては、同蛋白質がウイルスRNA合成において必須な役割を担っているため、変異株が樹立できなかったと考えられた。最初に、培養神経細胞におけるP2KO株およびP3KO株の増殖性がCE(NiP)株と同等であることが確認された。次に、10,000 FFUの各ウイルスを6週齢マウスに脳内接種した結果、CE(NiP)株、P2KO株およびP3KO株は、それぞれ100%、80%および80%のマウスに致死的な感染を引き起こした。このように致死率に若干の差異が認められたものの、脳内接種の条件では、病原性におけるP2およびP3蛋白質の貢献は明瞭にはならなかった。現在、より詳細な検討を目的として、P1以外のアイソフォームの発現を欠損した変異株を作製している。
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Research Products
(2 results)