2014 Fiscal Year Annual Research Report
ウエルシュ菌に起因する鶏壊死性腸炎の新規病原因子NetBの病原性発現機構の解明
Project/Area Number |
24580449
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
向本 雅郁 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (80231629)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 細菌毒素 / 腸炎 / ニワトリ / 感染症 / ウエルシュ菌 / NetB |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国での、ニワトリ以外の動物におけるnetB保有菌の検出状況を調べた。壊死性腸炎と診断されたウシ24頭、ブタ14頭、カラス3羽、ペンギン10羽から分離されたC. perfringensA型菌について、いずれの株もnetBを保有していなかった。系統解析の結果、いずれの株もニワトリ由来netB保有菌とは遠縁であり、netB保有菌はニワトリ間で独自の進化を遂げている可能性が示唆された。クロストリジウム属菌に有効とされる8種の抗生物質についてnetB保有菌11株について薬剤感受性試験を実施した。保有菌はいずれもリンコマイシンに対する耐性を保有していた。養鶏場では壊死性腸炎の治療および予防に多用されるため、広く耐性菌が出現したものと推定さる。 NetBの病原性発現に関わるNetB分子上の領域を特定することを試みた。NetBに対して中和活性を有するモノクローナル抗体を作製し、NetB欠失変異体との反応性から領域を特定した。その結果、NetBを構成するアミノ酸配列において1残基目のセリンから82残基目のメチオニンおよび255残基目のアスパラギンから292残基目のロイシンに病原性発現に関与する領域が存在することを明らかにした。 孔形成毒素の毒素発現機構の特徴から、受容体が種特異性を規定している可能性が高い。NetBの唯一の感受性細胞であるLMH細胞の細胞膜上に発現している種特異的な分子が受容体である可能性が高い。そこで、LMH細胞あるいはLMH細胞膜分画をマウスに免疫し、抗LMH細胞膜抗体を作製した。本抗体をLMH細胞に添加後NetBを作用させた時、陰性対照抗体と比較して、細胞生存率の有意な上昇がみられた。このことは本抗体がNetBの細胞膜への結合を特異的に阻害しており、抗体が認識する分子にNetB受容体が含まれていると考えられる。現在LC-MS解析により、本分子の特定を試みている。
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