2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24580471
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
浅利 將男 麻布大学, 獣医学部, 教授 (90120948)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市原 伸恒 麻布大学, 獣医学部, 准教授 (00318883)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | リンパ排導路 / 犬の乳腺腫瘍 / 腹腔内臓器 |
Research Abstract |
犬の前立腺からのリンパ排導について解剖学的手法で検索し、そのデータを蓄積させた。また犬の正常乳腺組織からの経路と比較するため、動物病院での乳腺腫瘍症例のリンパ経路についてCTを用いて検討した。【結果1】犬の前立腺では実質内の精管周囲の結合組織内、前立腺体部の被膜内および周囲の脂肪組織内に発達したリンパ管網が見られた。また前立腺腹側の脂肪組織内にもリンパ管網が見られ、頭側のリンパ節を経て、内側腸骨リンパ節から腰リンパ本幹、乳糜槽へリンパ流路は連続していた。【結果2】犬の乳腺腫瘍10症例13部位に造影剤を投与しCTで観察した結果、腫瘍が後胸部にあった例では、全例で腋窩部を通り胸腔内へ至るリンパ流路が確認された。前腹部にあった例では、1例が腋窩リンパ節へ、3例が浅鼠径リンパ節へ、2例で腋窩リンパ節、浅鼠径リンパ節両方へ向かう流路が観察された。浅鼠径リンパ節への流路が見られた5例中、2例において反対側の浅鼠径リンパ節への流路も認められた。このうち1例では、腋窩リンパ節および浅鼠径リンパ節への流路、浅鼠径リンパ節から反対側への流路が同時に観察された。さらに後腹部からは、いずれも投与側の浅鼠径リンパ節から腹腔内への流路および反対側の浅鼠径リンパ節への流路が観察された。鼠径部では、同側浅鼠径リンパ節から腹腔内へのリンパ流路が観察された。【考察】今回の研究では犬の前立腺からのリンパ排導のパターンが明らかになった。またCTリンパグラフィーによる腫瘍発生部位からのリンパ流路は、おおよそ正常時の乳腺からの経路に同じであるが、個体によっては、あるいは腫瘍の発生が単発か多発かによってルートの変異が見られるなど有益な知見が得られた。これらの検査は手術前に簡便に短時間で行うことができ、症例ごとで確認することができるため、テイラーメイド療法としてリンパ節を含めた摘出手術には有用であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度での実験計画の大きな目標は、平成23年度までに蓄積された犬の正常乳腺からのリンパ排導パターンが、乳腺腫瘍が発症した場合にはどのようになるか、新しい経路が出来てくるのか等のパターンの比較であった。これを実施するには動物病院の協力が必要であったが、この点、CT画像診断装置を現有する動物病院の協力が得られ、そこで13症例を検討することが出来た点が順調な進展の理由である。また従来から続けている体腔内での臓器からのリンパ排導についての検討についても、平成24年度では、墨汁注入によって前立腺に絞ったことで、そのパターンを整理できたことも進展したと判断した点である。さらに局所的なリンパ流路に関しては、毛細リンパ管の確認方法として推奨されている内皮細胞マーカーを用いた染色を行っているが、組織標本では、染色された細胞が血管内皮細胞とリンパ管内皮細胞のどちらであるのかを識別することが必要である。これについては、現在、精査中である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に引き続き、体腔内の臓器からのリンパ経路の検索を行う。主な標的臓器には膵臓、前立腺を含めた雌雄の生殖器官、胃あるいは食道・胃噴門部領域としたい。またこれまで検索してきた胃、肝臓についてもデータ蓄積のために検索を重ねて実施する。こうして最終的には腹部腔内の主要臓器のリンパ排導について、センチネルリンパ節、所属リンパ節などを明らかにしつつ、循環に戻るまでの経路の全体を明らかにしたい。もうひとつは乳腺に関してであるが、これも引き続き正常乳腺の他、乳腺腫瘍の症例におけるリンパ排導についてCTあるいは超音波リンパグラフィーなどを用いることにより、さらに明らかにしたい。こうした例数の蓄積では、排導パターンがある一定の様式になる可能性があり、臨床的にも価値のある情報となり得る。平成24年度では猫での同様の検索ができなかったが、今年度以降では猫も対象とするようにしたい。猫ではとくにCTリンパグラフィーによる胸管描出の方法論の確立についても検討していきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度以降の研究費の使用計画についても、基本的には平成24年度の実施計画と同様である。すなわち、体腔内の各臓器からのリンパ排導路の検索のための犬と猫の実験動物購入代ならびに飼育代、また正常乳腺あるいは乳腺腫瘍部からのリンパ排導を引き続き検索し、症例数を増やすための動物病院へのCT使用料なども研究費から支出される。その他、組織内のリンパ管網の描出のための各種内皮細胞マーカーなどは購入しなければならない。
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Research Products
(1 results)