2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24580471
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
浅利 將男 麻布大学, 獣医学部, 教授 (90120948)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市原 伸恒 麻布大学, 獣医学部, 准教授 (00318883)
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Keywords | 犬および猫 / 体腔内主要臓器 / リンパ流路 / 腹腔鏡 / インドシアニングリーン / センチネルリンパ節 / 胸管造影 / 尿路・血管造影剤 |
Research Abstract |
本年度では犬および猫の体腔内のリンパ流路の検索のために2つの研究に着手した。ひとつは犬の腹腔内主要臓器(食道・胃噴門部、膵臓および前立腺)からのリンパ流路について解剖学的手法で検索しそのデータを蓄積させ、さらに臨床応用として、それらの臓器に付属するセンチネルリンパ節(SNL)の可視化について検討した。もうひとつは、犬に比べ研究が遅れていた猫での胸管造影の手技について検討した。【結果】食道・胃噴門部組織からのリンパは胃リンパ節群と脾リンパ節群に流入し、そこから肝リンパ節に入り、その後、腸リンパ本幹から乳糜槽に至る。膵臓からのリンパも隣接の左右肝リンパ節群に流入するが、その他、脾リンパ節に流入するものも見られた。これらも最終的には腸リンパ本幹から乳糜槽に至る。胃に比べ膵臓からのリンパ流路のコースにはあまり個体差は見られなかった。前立腺からのリンパは周囲の脂肪組織、外側膀胱間膜を経て内側腸骨リンパ節に直接注ぐもの、下腹リンパ節を介して内側腸骨リンパ節に注ぐもの、仙骨リンパ節から下腹リンパ節を介して内側腸骨リンパ節に注ぐものの3通りあった。胃、膵臓および前立腺にインドシアニングリーン(ICG)を投与した後に、腹腔鏡でSNLを観察した結果、前立腺投与例で比較的明瞭な結果が得られたが、今後はさらなる条件検討が課題となった。猫の肛門・直腸粘膜下に、非イオン性ヨード系尿・血管造影剤のイオヘキソール(オムニパーク)と同じく血管造影剤のイオパミドール(オイパロミン)を1.8ml/kgまたは1.2mg/kg投与し、マッサージ後、CT撮影をして乳糜槽および胸管を観察した。猫では犬と異なりイオヘキソール(オムニパーク350)を1.2ml/kg投与した例で明瞭なリンパ節、乳糜槽および胸管が造影された。このデータは犬や猫で発生する乳糜胸の原発部位の確認のための胸管造影手技として有用な情報となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の計画では、体腔内臓器からのリンパ流路の検索の他、正常乳腺および乳腺腫瘍時のリンパ流路の検索を予定していたが、乳腺腫瘍例の検体が思うように集まらず、ほとんど実施できなかった。一方、平成24年度から26年度を通して実施する予定である、体腔内主要臓器からのリンパ流の検索を続け、それらの生体下でのセンチネルリンパ節の可視化について、インドシアニングリーン(ICG)投与と腹腔鏡による検索の可能性について検討した。これにより体腔内主要臓器からのリンパ流路の情報を蓄積させることが出来、またICG投与による生体下でのセンチネルリンパ節の検索の基礎情報は得られた。もう一つの研究では、以前の研究で成果を得た犬の胸管造影法とCTによる画像観察に比べ、これまで有用なデータの得られていない猫の胸管造影法について、犬と同様に検討し、いくつかの知見を得た。これについては臨床的に有用なデーターとなるため、平成26年度に開催される、いずれかの学会あるいは研究会にて発表するつもりである。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は本研究プログラムの最終年度にあたるが、乳腺腫瘍下でのリンパ流路の検索は標本が得られれば引き続き実施する。このことで先行研究により得られた正常乳腺のリンパ排導パターンと腫瘍発生時のそれの違いの有無について知見が得られることになり、乳腺腫瘍でのリンパ廓清の在り方に対して重要な情報を与えることになる。また本研究の主題が「犬版のリンパ節規約」の作成を目標とすることから、腎臓や脾臓など、まだ一連の研究で手掛けていない臓器からのリンパ流路の検索を続け、これらを含めて最終的には犬の体腔内主要臓器からのリンパ流路の全体図を完成させることを目指す。さらに臨床応用の観点で言えば、胃、肝臓、膵臓および前立腺など体腔内主要臓器のセンチネルリンパ節の生体下での可視化についての検討を行うために、H25年度で実施したインドシアニングリーン投与による腹腔鏡での検討を引き続き進める。
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Research Products
(1 results)