2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24580471
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
浅利 將男 麻布大学, 獣医学部, 教授 (90120948)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市原 伸恒 麻布大学, 獣医学部, 准教授 (00318883)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 猫 / リンパ流路 / 胸管 / 乳糜槽 / 尿路・血管造影剤 / CT撮影 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度研究では、猫の乳糜槽・胸管の走行、描出法について臨床応用可能な安全かつ簡便な方法を開発することを目的に墨汁および血管造影剤の投与実験を行った。その結果、投与部位の肛門周囲皮下組織からのリンパ流路は、そこのリンパ網から内腸骨リンパ節へ続き、さらに腰リンパ本幹から乳糜槽、胸管へ連続することが明らかになった。それらの走行はさまざまな走行パターンが得られ、猫の胸腔内における胸管の走行については、今まで報告のある走行とは異なる胸管の走行が明らかとなった。血管造影剤である非イオン性ヨード系尿路・血管造影剤イオヘキソールの投与を行い、リンパ流路の可視化に加え、臨床応用を踏まえ、投与後の肛門周囲のマッサージ時間や投与量などの投与方法についても精査した。その結果、乳糜槽はおおよそ第2、第3腰椎レベルで背側槽と腹側小嚢に分かれ、また、胸管の走行は、1本のものから、途中複数本に細かく分岐するもの、分岐吻合を繰り返すものなどものなど、3次元CT画像下で明らかになった。また、造影剤の粘性を低くするために、投与前にそれを38℃加温することに効果があること、また投与後のマッサージ時間は3分間で十分であり、投与から時間が経過するとリンパ系から泌尿系へ移行することが明らかになったため、撮影はマッサージ直後に行うことで良好な結果が得られることが判明した。投与量に関しては、1.8ml/kgの投与量が適していることを明らかにした。本研究により、手技的に容易にアプローチできる肛門周囲組織内に、日常的に臨床現場で使用されるイオヘキソール(38℃)を投与し、投与部位の5分間のマッサージを行った直後にCT撮影を行うことで、一連のリンパ流路が立体的かつ明瞭に描出されるため、有用な手法であることを明らかにした。以上より、獣医療で難しいとされてきた猫の胸管造影を簡単かつ非侵襲的に実施できることが明らかになった。
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