2012 Fiscal Year Research-status Report
コムギのフルクタン分解酵素遺伝子群による越冬エネルギーの効率的利用機構の解析
Project/Area Number |
24580501
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
Principal Investigator |
吉田 みどり 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, その他部局等, 研究員 (00355455)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | フルクタン / コムギ / 耐凍性 / 耐雪性 |
Research Abstract |
フルクタンはデンプンに代わって植物細胞の液胞に蓄積されるショ糖から生産されるオリゴ及び多糖である。ハードニング中および越冬中のフルクタン蓄積量はコムギの耐凍性と雪腐病抵抗性に強く関わる。我々のグループは、すでにフルクタン合成酵素遺伝子を3種類単離しており、そのうちの(sucrose:sucrose1-fructosyltransferase, sucrose:fructan 6-fructosyltransferase)の発現が、コムギのフルクタン含量の季節変化や品種間差異と相関することを報告している(Kawakami and Yoshida 2002)。一方、近年、異なった基質特異性をもつコムギのフルクタン分解酵素遺伝子(FEH, fructan exohydrolase)が幾つか単離された。自然環境下で生育したコムギ組織において、1-FEH, 6-KEH, 6&1-FEH, 6-HEH, Wfh-sm3遺伝子発現の季節変化を解析したところ、秋のハードニング中及び越冬中の発現変化は遺伝子によって異なった。オリゴ糖の分解を主に行う酵素遺伝子は、季節変化に関係なく恒常的に発現するものと、成長が盛んな時期に発現が高くなるものに分かれた。コムギの分岐型フルクタン(グラミナン)構造の全てを分解可能なWfh-sm3は、雪腐病菌接種によって発現が増加し、フルクタン含量の季節変化に関係していた。これらの遺伝子の発現制御が越冬中の環境ストレスに対する品種間差異に重要な役割を担うと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
種類の多いフルクタン分解酵素遺伝子群の発現様式を圃場サンプルで解析し、フルクタンの蓄積、消費に関わる酵素遺伝子を明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の解析と同じ実験を、別の年度の圃場越冬コムギ品種で行う。人工環境温度レスポンス実験と併せて結果の比較検証を行い、それぞれの遺伝子の生理的役割を解明する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度、圃場サンプルの解析の温度レスポンスを検証するために、人工環境下の実験も平行して行う予定であったが、夏季に北海道の節電要請により人工環境室が使用できなかったため、これらの解析のための費用が残額として生じた。これらの植物育成とサンプリングは秋以降に順次行ったので、この解析を次年度に行う。 糖解析と分子生物学的解析に購入する試薬類を物品費として申請当初の計画の150万円を使用予定。それに加えて、25年度は人件費に約90万を使用予定している。
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Research Products
(4 results)