2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24590078
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹松 弘 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80324680)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 胚中心 / 糖鎖抗原 / 糖脂質 / B細胞抗原受容体シグナル伝達 / 免疫 / 抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
同じほ乳類に属するが、ヒトとマウスの免疫系の違いについては多くの知見が得られているが、細胞表面に発現する糖鎖抗原はその代表的な例である。細胞表面のタンパク質のうち7割程度は糖タンパク質であり、糖鎖抗原は主要な抗原である。一方で、免疫系の細胞の同定には、その黎明期から現在に至るまで、その糖鎖変化が用いられてきている。これは、糖鎖が細胞の顔とも比喩されるように、糖鎖組成は細胞種特異的であることに起因する。また、糖タンパク質の糖鎖部分のみが変化する、すなわち、タンパク質部分とこれを修飾される糖鎖の種類は別個に制御されている。しかしながら、このように多彩な発現制御を示す糖鎖について、その機能解明は進んでいない。 液性免疫応答の根幹をなすBリンパ球は、成熟後、抗原と出会い活性化し、最終的には抗体産生細胞およびメモリーB細胞へと分化する。タンパク質抗原に対する免疫応答においては、抗原により活性化したB細胞は胚中心と呼ばれる二次リンパ器官内の微小領域を形成し、ここで、抗体遺伝子の可変部での体細胞高頻度突然変異による親和性成熟、定常部でのクラススイッチ組み換えなど、抗体遺伝子の改変・改良を行うことで、液性免疫応答を引き起こす。 本研究では、糖鎖のみを変化させたモデルB細胞を用いて、B細胞活性化における主要なシグナル伝達経路である。B細胞抗原受容体(BCR)シグナル伝達における糖鎖の機能性を検討した。ここで、特に、胚中心B細胞において誘導される、CD77, PNAエピトープの両者について注目した。研究の結果、これらの糖鎖抗原は、それぞれ、BCRシグナル伝達を経路特異的に制御していることが明らかとなった。BCR下流での様々な経路はその後の活性化・分化において異なる役割を果たしており、糖鎖抗原の変化により、その経路特異的な制御を介して適切な細胞レベルでの抗体産生応答を可能としていることが考えられた。
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Research Products
(9 results)