2014 Fiscal Year Annual Research Report
アクチン結合蛋白質エズリンの上皮機能調節、神経ネットワーク構築における役割の解明
Project/Area Number |
24590104
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
浅野 真司 立命館大学, 薬学部, 教授 (90167891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向所 賢一 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (50343223)
位田 雅俊 岐阜薬科大学, 薬学部, 講師 (70512424)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アクチン結合タンパク質 / 上皮組織 / トランスポーター / アダプタータンパク質 / 神経ネットワーク / 生理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
エズリンは肝臓内の胆管細胞に発現する。エズリン欠損マウスでは胆管細胞の増殖や胆管周辺の繊維化、胆汁酸の滞留、肝障害が観察された。また、胆汁流量や胆汁中のHCO3-濃度の低下も観察された。不死化胆管細胞であるNMC細胞に野生型のエズリン(WTE細胞)、またはC末端側のドメインを欠損したドミナントネガティブ体のエズリンを発現させた安定発現株(DNE細胞)を構築した。WTE細胞と比較してDNE細胞では、クロライドチャネルであるCFTR、アニオン交換輸送体であるAE2、水チャネルであるAQP1の頂端膜表面での発現が低下した。またCFTRの活性化(リン酸化)が阻害され、Cl-輸送活性が有意に低下した。これらの実験結果から、エズリンは胆管細胞においてCFTR, AE2, AQP1の細胞膜表面への発現を促し、Cl-輸送を活性化し、AE2のHCO3-分泌による胆汁の中和、AQP1による水分泌を促進して胆汁の流動性を高めることに働くことが明らかになった。今年度、これらの結果を原著論文として取り纏めてHepatology誌(2015年)に発表した。 また、エズリン欠損マウス由来の初代神経培養細胞を用いて、神経細胞の軸索や樹状突起の形成における働きを検討した。エズリン欠損マウス由来の神経細胞では、野生型由来の細胞と比較して有意な神経突起の数の減少が観察された。また、Gタンパク質であるRhoAの活性化、ミオシンのリン酸化が観察された。さらにこれらの現象はRho kinaseの阻害剤を添加すると回復した。以上のことから、エズリンがRhoAを介して、神経細胞の軸索や樹状突起の形成の調節に働くことを確認した。これらの結果を原著論文として取り纏めてPLOS ONE誌(2014年)に発表した。
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Research Products
(20 results)