2013 Fiscal Year Research-status Report
プロテオミクスにより見出した新規抗がん剤反応性予測タンパク質のバイオマーカー開発
Project/Area Number |
24590208
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
鈴木 小夜 慶應義塾大学, 薬学部, 講師 (90424134)
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Keywords | 個別化医療 / S100A10 / 抗がん剤 / 薬剤反応性 / バイオマーカー / オキサリプラチン |
Research Abstract |
本研究では、研究代表者が平成21~23年度基盤研究(C)「プロテオーム解析による抗がん剤反応性関連タンパク質の解明とバイオマーカーへの応用」において新規に見出した抗がん剤感受性関連タンパク質S100A10について、その臨床応用に向けた研究を行う。 1. S100A10 ELISA測定系の構築:先行研究において得られた複数の候補抗体を用いて、FDAガイドラインGuidance for Industry, Bioanalytical Method Validation (2001) 等にもとづき最適化条件の検討を行なった。他のS100ファミリータンパク質との交差耐性はなく、ウエスタンブロット法による分析結果および質量分析SELDI-TOF MSのピーク強度との相関性が確認され、検出限界および定量限界について結果が得られた。 2. ヒト大腸癌組織アレイを用いた免疫学的組織染色:ヒト大腸癌組織アレイについて、S100A10抗体、およびS100A10の結合タンパク質であるannexin A2の抗体を用いた免疫組織化学染色の条件検討および染色を行なった。用いたヒト大腸癌組織アレイは、化学療法治療歴および予後に関する情報を付帯している全300スポット(=300症例)からなり、S100A10抗体およびannexin A2抗体を用いて、それぞれ全300スポットの染色作業を終了した。 次年度以降は、大腸癌以外のがん種の各種ヒトがん細胞株を用いて抗がん剤感受性バイオマーカーとしての普遍性および適応拡大の可能性について検討するとともに、免疫組織化学染色の終了したヒト大腸がん組織アレイ全300スポットについて解析を行ない臨床検体による検証を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度までの達成度についてはおおむね順調である。本研究では、研究代表者が平成21~23年度基盤研究(C)「プロテオーム解析による抗がん剤反応性関連タンパク質の解明とバイオマーカーへの応用」において新規に見出した抗がん剤感受性関連タンパク質S100A10について、その臨床応用に向けた研究を展開させることを目的としている。 平成25年度は、S100A10 ELISA測定系の構築に向けた最適化条件の検討を行い、検出限界、定量限界等の結果が得られた。 臨床検体を用いた検証作業として、化学療法治療歴および予後に関する情報を付帯しているヒト大腸癌組織アレイを用いた免疫組織学的検証を実施する予定であり、染色条件の確定および染色作業までを終えた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的<新規に見出した抗がん剤感受性関連タンパク質S100A10について、その臨床応用に向けた研究の展開>、および平成25年度までの達成度を踏まえ、平成26年度以降は以下のように研究を進めていく。 1.臨床検体を用いた検証:組織検体を用いた検証は、染色を終えたヒト大腸癌組織アレイ全300スポットについての解析を行ない、S100A10タンパク質およびS100A10の結合タンパク質であるannexin A2の発現と、治療歴および予後との関連について評価する。 2.大腸癌以外のがん種における検討:大腸癌以外のがん種の各種ヒトがん細胞株を用いて、S100A10およびannexin A2発現量と抗がん剤感受性を検討し、抗がん剤感受性バイオマーカーとしての普遍性および適応拡大の可能性について検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に学会発表のための旅費として50,000円を申請したが、論文作成を行なったためほぼこれに相当する77,205円が平成25年度の成果発表に関わる費用となり、平成25年度も同様に学会発表のための旅費として50,000円を申請していたため、合計127,205円が成果発表に関わる費用となったが、平成25年度に論文投稿に関わる費用として使用した額は93,173円であったため、この差引分がほぼ次年度使用額(21,502円)に相当する。 平成26年度分として交付申請した直接経費1,120,000円については、各種ヒトがん細胞株の購入、S100A10、annexin A2、および関連分子のタンパク質発現量やmRNA発現量を分析するための各種抗体、プライマー、測定試薬などの他、細胞培養に関わる消耗品(血清、培地、ディッシュ、チューブ、ピペットなど)を購入する。またヒト組織アレイの免疫組織化学染色の解析に際して、客観的定量的評価を行うための装置使用等関わる費用に充てる予定である。次年度使用額として生じた21,502円は、薬剤感受性を評価する際に使用する96 well plateの購入に充てる予定である。
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