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2012 Fiscal Year Research-status Report

重症筋無力症患者における末梢性免疫寛容誘導に基づくオーダーメイド療法

Research Project

Project/Area Number 24590215
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Research InstitutionTokyo University of Pharmacy and Life Science

Principal Investigator

田中 祥子  東京薬科大学, 薬学部, 助教 (50328556)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2015-03-31
Keywordsオーダーメイド療法 / 重症筋無力症状 / 免疫寛容
Research Abstract

重症筋無力症(MG)は,神経筋接合部のアセチルコリンレセプター(AChR)に対する抗体が生じ,この抗体により神経筋伝達がブロックされる自己免疫疾患である.近年,自己あるいは外来抗原に対する過剰な免疫反応を制御する機能を有する細胞集団が存在することが明らかとされている.さらに末梢においても,免疫細胞がこのような制御性機能を有する細胞へと分化することが示されている.そこで,本研究では末梢における自己免疫寛容を指標として,MGの免疫抑制薬物療法の個別化を図ることを目的とする.
初年度は,MG患者末梢における免疫寛容維持機能の評価を行った.これまでの申請者らの研究の成果から,CD4+CD25+Foxp3+制御性T(Treg)細胞が増加するMG患者ではGC治療によって十分な治療効果が得られることが明らかとしている(Masuda らJ Neuroimmunol 2010年).東京医科大学病院神経内科を受診中で文書によるインフォームドコンセントが得られたMG患者68名を対象とした.患者の静脈血から末梢血単核細胞(PBMC)を分取した.PBMC中の免疫制御能を有する細胞集団であるTreg細胞およびBreg細胞の比率を測定し,重症度との関連について検討を行った.なお重症度の判定は,米国MG基金(MGFA)の推奨する基準に基づき,クラス0からクラスIIIに分類した.クラスIVおよびVに分類される重症例はいなかった.各細胞集団の測定方法は,以下のとおりである.
【Treg細胞の測定】CD4+CD25+Foxp3+制御性T細胞の測定はフローサイトメトリー法を用い,CD4+細胞におけるCD4+CD25+Foxp3+細胞の割合を算出した.
【Breg細胞の測定】フローサイトメトリー法を用いてCD19+CD24highCD38high細胞を測定し,CD19+細胞中の割合を算出した.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

初年度は,MG患者のPBMCにおけるTreg細胞およびBreg細胞の比率を測定した.この結果,MG患者の末梢におけるBreg細胞の割合は重症例において低下していることが明らかとなった.一方,3~4ヶ月間の治療期間において,末梢のTreg細胞の割合は増加する症例では,MG症状が改善していた.なお本研究では,以下の指標を治療効果の判定に用いた.
【自己抗体の測定】血漿を用いて,抗ACh-R抗体価の測定を行った.さらにMGの重症度との関連が報告されている筋特異的チロシンキナーゼ(Musk)抗体やカリウムチャネルkv1.4抗体についても測定を行った.さらに MGの病態に関与する未知の自己抗体の存在やB細胞の分化との関連を明らかとするために,IgG抗体のサブクラスを測定した.
【治療応答性の評価】QMGスコアやMGcompositeなど臨床においても汎用されている重症度スコアを用いた.さらにSF-36やGHQ-28などのQOL評価を行い,精神症状から治療の有用性を評価した.いずれも診療の一環として,研究協力者である医師(複数名)が行った.
このように,いずれの制御性細胞においても,MGの病態および治療応答性との関連が認められたことから,本研究は現在まで概ね順調に進展しているものと考えられる.本年度は,昨年度と同様に各制御性細胞の割合を測定し,治療応答性の指標としての可能性について検討を行う.さらに免疫抑制薬の選択,投与量および投与期間を検討し,減量の際の指標としての可能性についても明らかとしたい.これらの研究成果により,MG以外の自己免疫疾患においても末梢免疫寛容の誘導に基づく薬物治療の可能性が明らかとなるものと思われる.

Strategy for Future Research Activity

現在Breg細胞マーカーとして使用しているCD24およびCD38は,いずれも未熟B細胞に発現する表面抗原である.したがって,今後はBreg細胞の抑制機能との関連が明確な特異的マーカーが必要であると思われる.Breg細胞の抑制機能には,IL-10が関与していることが明らかとされている.そこで,磁気細胞分離システムを用いてIL-10を産生しているCD19+細胞を回収し, Breg細胞の特異的マーカーの探索を行いたい.まずはIL-10産生に関与する転写因子あるいはBCMAやTACIなどのB細胞活性化因子の受容体を候補とする.   さらにMGの治療に用いられている薬物の各制御性細胞への誘導作用についても検討を行う.カルシニューリン阻害剤は,GCによって十分な治療効果が得られないMG患者に用いられる.しかしながらIL-10産生に関与する転写因子の活性を低下させることが明らかとされている.したがって,カルシニューリン阻害剤による治療が,Breg細胞の割合を低下させる可能性が考えられる.免疫抑制薬以外にも,以下の薬剤について検討を行う.
【コリンエステラーゼ阻害剤】MGの対症療法としてコリンエステラーゼ阻害剤が使用される.ピリドスチグミンはHIV患者において,IL-10産生を増加させるという報告があることから,特にBreg細胞の誘導作用について検討を行う.
【ビタミンD製剤】MG治療においてはGCによる治療が第一選択である.このため,骨粗しょう症予防の目的で投与される.ビタミンD製剤による免疫抑制作用が明らかとされていることから,各制御性細胞の誘導作用について,検討を行う.
【その他】抗菌薬やスタチン系薬剤など免疫抑制作用が報告されている薬物が,これらの制御性細胞を誘導する可能性がある.天然由来化合物も含め,各制御性細胞の誘導作用について,検討を行う.

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

次年度の研究費は,消耗品の購入にのみ使用する.MG患者末梢血より得られたPBMCを用いて実験を行う.細胞培養関係試薬は,H24-26年度を通じて必須である。培養関係試薬で最も高額なのは,液体培地に加える牛胎児血清である.血清は500mlで約4万円であり,これを年に3-4本使用する.細胞培養は,約100回を予定している.その他リンパ球分離液,液体培地,滅菌器具,一般試薬などを購入したい.フローサイトメトリー法に用いる蛍光標識モノクローナル抗体は,1本当たり約5万円で,年間10本の購入を予定している.リアルタイムRT-PCRに用いる試薬は,RNA抽出用キット,逆転写試薬一式,PCRキットなどを合わせ, 96ウェル分相当で5-10万円である.年間に約400ウェル分の実験を予定している.その他,マイトゲン,免疫抑制薬などの試薬は1本数千円―数万円である.ウエスタンブロット法に用いる試薬は,タンパク質量定量キット,SDS-PAGE,ブロッティング,発光用の試薬および抗体などを合わせて約20万円である. 転写因子の活性化の測定にはTransMaxTM(約8万円)を使用する予定である.2種類の転写因子の測定を行うために必要となる核抽出液および緩衝液もあわせると,約20万円の支出となる.電気泳動装置や発光測定装置は,申請者の所属する研究室で所有している.細胞分離には,磁気細胞分離システムを使用する.抗体を結合させた磁気ビーズや分離カラムは,約20万円である.上記の研究に必要なフローサイトメーターやPCRなどの装置は,いずれも申請者の所属する施設で所有している.

  • Research Products

    (2 results)

All 2012

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] B cell activating factor belonging to the tumor necrosis family were related to efficacy of glucocorticoid therapy in myasthenia gravis patients2012

    • Author(s)
      Sachiko Tanaka, Mamiko Yamamoto, Akemi Maeno, Yumika Ochiai, Suguru Ito, Masayuki Masuda, Kenji Onda, Kentaro Sugiyama, Hiroya Utsumi, Toshihiko Hirano
    • Organizer
      The 33 rd the Annual Meating of the Japanese Society of Clinical Pharmacology and Therapeutics(BPS/JSCPT Joint Symposium)
    • Place of Presentation
      Naha, Japan
    • Year and Date
      20121129-20121201
  • [Presentation] Low-dose glucocorticoid therapy complement the pituitary-adrenocortical system and reduce anxiety and insomnia in myasthenia gravis patients2012

    • Author(s)
      Sachiko Tanaka, Takao Akashi,Suguru Itoh, Masayuki Masuda, Hiroya Utsumi, Chiho Kasahara, Yumika Ochiai, Mamiko Yamamoto, Hironori Takeuchi, Sakae Unezaki and Toshihiko Hirano
    • Organizer
      The 72th World Congress of Pharmacy and Pharmaceutical Sciences
    • Place of Presentation
      Amsterdam, Holland
    • Year and Date
      20121003-20121008

URL: 

Published: 2014-07-24  

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