2013 Fiscal Year Research-status Report
乳がん細胞の抗がん剤耐性化に関与する薬物代謝酵素の役割
Project/Area Number |
24590217
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
小倉 健一郎 東京薬科大学, 薬学部, 准教授 (10185564)
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Keywords | 乳がん / 抗がん剤 / タモキシフェン / 薬物代謝酵素 / グルクロン酸抱合 |
Research Abstract |
本研究計画の第一の目的である、乳癌細胞中における UGT1A4 の過剰発現によって生じたタモキシフェン(TAM)耐性化の機構を明らかにするため、UGT1A4 発現 MCF7 細胞 (MCF-7-UGT1A4)における TAM 代謝ならびにその動態を検討した。昨年度構築したUGT1A4を発現させたMCF-7-UGT1A4はTAMに対して耐性を示し、野生型に比べて細胞内 TAM濃度は低下し、代謝物TAM N+-glucuronideはすみやかに細胞外へ排泄されていた。そこで、本年度はTAN N+-glucuronideの細胞外への排泄に係わるトランスポーターの検索を行った。その結果、MCF-7に発現していることが知られているMRP-1が主に関与していることが示唆された。 一方、TAM 耐性化した MCF7-1A4 は、人為的に UGT1A4 を発現させたものであるが、実際に TAM 耐性化した乳癌細胞で、その耐性化が UGT1A4 発現によるものが存在するかを明らかにする必要がある。 そこで本研究計画の第二の目的として、MCF7 細胞を死滅しない程度の濃度の TAM 存在下で長期間培養し、生じる TAM 耐性 MCF-7細胞を作成した。現在作成開始より1年半程度が経過し、ほぼ耐性細胞が構築されたと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一の目的としたUGT1A4発現MCF-7細胞において、UGT1A4発現によって促進されたN-グルクロン酸抱合反応がTAMの細胞外排泄につながることが明らかになった。 第二の目的であるTAM耐性MCF-7細胞の作成は、概ね1年半の培養により耐性細胞がほぼ作成されたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画の通り樹立されたと考えられるTAM 耐性 MCF-7 細胞株について エストロゲンに対する感受性を維持しているかを検討する。さらに、細胞のミクロソームを調製し、TAM に対する N-グルクロン酸抱合活性の測定ならびにウェスタンブロット分析により UGT1A4 の発現を検討する。 さらにTAM耐性MCF7株における各種遺伝子群について、野生株との発現様式の比較を行う。 すなわち、エストロゲン受容体 (ERα, ERβ)、タンパク質リン酸化酵素(PKC)、HER-2、プロゲステロン受容体、アポトーシス制御関連遺伝子群(API5, BNIP3)などの発現変動を real-time PCR 法により測定する。また、UGT1A4発現により耐性化させたMCF-7-UGT1A4株においても同様に各種制御因子の変動を測定し、耐性化の要因について検討する。
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