2013 Fiscal Year Research-status Report
皮膚感覚受容器のチャネル分子発現解析と感覚異常疾患モデルの分子病態解明
Project/Area Number |
24590253
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
海藤 俊行 鳥取大学, 医学部, 教授 (70268837)
|
Keywords | 皮膚 / 感覚 / 神経 / アトピー性皮膚炎 / チャネル分子 |
Research Abstract |
1.正常皮膚感覚受容器におけるチャネル分子等の発現解析:ラット耳介皮膚の柵状神経終末におけるイオンチャネルの局在を免疫組織化学法で検討したところPiezo、TRP、ASICsの陽性反応が認められた。柵状神経終末は、機械刺激受容に加えて温度刺激や炎症時の痛覚受容にも関与する可能性が考えられた。免疫電子顕微鏡法ではPiezoの陽性反応は、主として軸索の細胞膜の裏打ちと細胞質に認められたが、軸索の細胞膜と細胞質を区分してPiezoの分布を解析したところ、陽性率は軸索側面の細胞膜と細胞質において高値であった(約90%)。毛に対する機械刺激は軸索側面の細胞膜を伸長させてPiezoを開き、陽イオン電流を引き起こすと考えられた。一方、ASICの陽性反応も軸索の細胞膜の裏打ちに認められたことから、柵状神経終末の機械受容にはPiezoに加えてASICも関与している可能性が示唆された。 2.アトピー性皮膚炎発症マウスの皮膚感覚受容器における分子発現解析:アトピー性皮膚炎モデル動物のNCヘアレスマウスにジニトロフルオロベンゼンを塗布してアトピー性皮膚炎を誘発した。ASICについて免疫組織化学的検討を行ったところ、陽性反応は非誘発マウスの柵状神経終末には検出できなかったが、アトピー性皮膚炎の柵状神経終末には認められた。アトピー性皮膚炎の柵状神経終末におけるASICの増加はアトピー性皮膚炎の皮膚感覚変化に何らかの影響を及ぼしている可能性があると推測された。 3.遺伝的脱毛マウスの皮膚感覚受容器における分子発現解析:組織学的検討によりNCヘアレスマウスは軟毛を失わないことが確認できたので、非誘発マウスにおいて毛の感覚神経終末における分子発現を解析中である。 4.研究結果の総括:本研究の成果について学会発表を行ったが、さらに現在、英文論文を準備中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
正常皮膚感覚受容器におけるチャネル分子等の発現解析については、おおむね順調に進展している。アトピー性皮膚炎発症マウスの皮膚感覚受容器における分子発現解析については、アトピー性皮膚炎を発症するトランスジェニックマウスの製造会社がマウスの権利を別会社に譲渡したため、数ヶ月にわたり当該マウスの入手ができなくなり皮膚炎モデルの作製が遅れたが、平成25年度中に当該マウスにアトピー性皮膚炎を発症させることに成功し、おおむね順調に皮膚感覚受容器における分子発現の検討を行っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
正常皮膚感覚受容器におけるチャネル分子等の発現解析については、研究の概要に期したような新知見が得られており、英文論文発表につなげる予定である。また、アトピー性皮膚炎発症マウスの皮膚感覚受容器における分子発現解析についても、データを蓄積して学会発表を行っていく予定である。遺伝的脱毛マウスの皮膚感覚受容器における分子発現解析については、脱毛マウスに軟毛が残存することが判明したので、感覚神経における分子発現の解析を進めていきたい。
|
Research Products
(1 results)