2013 Fiscal Year Research-status Report
細動脈での利尿剤スピロノラクトンの情報伝達機構の解明:受容体はどこに存在するか?
Project/Area Number |
24590259
|
Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
齋野 朝幸 岩手医科大学, 医学部, 教授 (40305991)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 誠 岩手医科大学, 薬学部, 講師(Lecture) (00405846)
佐藤 洋一 岩手医科大学, 医学部, 教授(Professor) (40118253)
|
Keywords | スピロノラクトン / 細動脈 / 細胞内カルシウムイオン / ステロイド / 共焦点レーザー顕微鏡 / 膜受容体 |
Research Abstract |
利尿剤のspironolactone (SPL) は、現在補助的に高血圧治療薬の一つとして用いられている。これまで降圧効果の詳細はよくわかっていない。我々は以前にSPLが血管平滑筋の細胞内Ca2+濃度([Ca2+]i)の上昇を引き起こし、細胞内外からのCa2+放出・流入の双方がこれに関与している事を報告した。SPLの受容体が膜上にも存在する可能性があり、この仮説が本当なのかどうかCa2+イメージング法を用いて研究することが目的である。 SPL(300μM)によって細動脈血管平滑筋細胞の収縮反応と[Ca2+]i上昇が観察されている。その上昇が細胞内と細胞外のどちらに起因するか検討したところ、双方が関与することが示唆された。受容体について詳細に検討した結果、細胞内情報伝達系において、SPLはステロイドと類似構造を持つため、細胞膜を透過し細胞内受容体に結合する以外に、細胞膜のGタンパク受容体に結合して反応を引き起こす可能性が示唆された。特に、グルココルチコイド並びにアンドロゲン受容体の関与が強く示唆された。膜受容体について各種キナーゼについても検討した結果、プロテインキナーゼAが最も関与する可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験の手技や方法については以前から行っているものであり、標本作製には特に問題は見当たらず、安定して標本作製を行うことができた。Ca2+イメージングの手技についても特に問題はなく、これに関するデータも順調に収集できている。今までの結果から血管平滑筋の細胞膜上に何らかのスピロノラクトンの受容体が存在している可能性が考えられる。このため、同大学薬学部に依頼してスピロノラクトンにタグ(側鎖)をつけ、細胞内に取り込まれないような合成体を作成することを行っているが、まだ実験を行うに足るものが合成できていない。そのため、先の実験を行うことが十分にできていないのが現状である。
|
Strategy for Future Research Activity |
スピロノラクトンにタグをつけ、細胞内に取り込まれないような合成体を作成することが急務である。その合成が可能となったところで、今までの実験と同様の実験を行い、細胞内に取り込まれない形でも同様の反応が起こるかどうか確認する予定である。すなわち、修飾薬剤の合成がうまくいくかどうか、我々が考えた通りの反応結果が得られるかが今後の課題である。 我々の実験結果から、受容体の存在場所についてさらに検討する必要があり、実験を継続する必要がある。スピロノラクトンの修飾薬剤合成は今まで行われておらず、昨年度中には合成できなかった。合成薬剤が得られるまで試行錯誤の状態であり、かなりの時間と金額が必要となるので申請の金額については妥当であると考える。今後積極的に結果を報告していきたい。
|