2012 Fiscal Year Research-status Report
細胞膜ドメインの“マクロ”クラスター形成機構とそのドライビングフォースについて
Project/Area Number |
24590264
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
野村 隆士 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (20325161)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下村 敦司 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (50340237)
向後 晶子 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20340242)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ラフト / コロナウイルス / アクチン / クラスタリング |
Research Abstract |
申請者らは,ヒトコロナウイルスが細胞内に侵入する際,1)ラフト,カベオラの巨大“マクロ”クラスターが形成されること,2)ラフトの“マクロ”クラスターは細胞膜上をカベオラへ向けて滑走することを明らかにしてきた。このような“マクロ”クラスターは,リンパ球における免疫シナプスや,多細胞生物の発生における非対称分裂においても,重要な役割を担っているが,その形成機構は不明である。本研究の目的は,細胞膜ドメインの“マクロ”クラスター形成機構と,そのドライビングフォースを明らかにすることにある。 平成24年度は,架橋CD13(ヒトコロナウイルス-229Eのレセプター)を用いたラフト“マクロ”クラスタリングのライブイメージング解析,特にアクチンフィラメントに対する解析を中心に行った。結果の詳細は以下の通り。 (1)細胞膜上におけるCD13のクラスタリングには,直線的な方向性が認められること。(2)この直線的方向性をもつクラスタリングには,1)直線の長軸方向に沿って移動するものと,2)長軸に対して垂直方向へ移動するものの2つのパターンがあることが判明した。(3)固定細胞で検討したところ,この直線構造はアクチンフィラメントであることが判明した。(4)EGFP-アクチン導入細胞において検討したところ,アクチンフィラメントがダイナミックに移動する(アクチンフィラメントフローと名付ける)際,アクチンフィラメントの長軸方向に沿う移動と,長軸に対して垂直方向への移動があることが判明した。(5)非ラフト分子であるトランスフェリンレセプターに対しても,同様の実験を行ったところ,まだ確定的なことは言えないが,この分子もアクチンフィラメントフローに依存して動くような知見が得られつつある。 以上のことより,マクロクラスタリングのドライビングフォース候補としてアクチンフィラメントフローの関与が重要であると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究実施計画は,(1)培養線維芽細胞を用いたライブイメージング解析,(2)膜直下のアクチンフィラメントとの関連解析の2つに大別される。「研究実績の概要」に記載したとおり,両解析方法により,CD13のクラスタリングには,2パターンあり,そのどちらもアクチンフィラメントフローの動きと同じであることが判明した。つまり,ラフトのマクロクラスタリングのドライビングフォースを解析するにあたり,その有力候補として,アクチンフィラメントフローをターゲットにすれば良い事が判明した。現在,生化学的解析は,まだ準備段階であるが,解析対象がはっきりしたことは,今後の研究を推進する上で非常に大きい伸展であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
ラフトのマクロクラスタリング機構の解明に向けて,以下の研究を行う。 (1)培養線維芽細胞を用いたさらなるライブイメージング解析を行う。具体的には,1)EGFP以外の蛍光タンパク質によるアクチンフィラメントフローを検出する系を作製し,CD13のクラスタリングとの関連性を再検討する。2)アクチンフィラメントを脱重合させた際のCD13の挙動を解析する。3)ラフト分子以外の膜分子の挙動とアクチンフィラメントフローとの関連性を検討する。 (2)アクチンフィラメントフローと,CD13のクラスタリングに連関する分子のスクリーニングを生化学的,形態学的に行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に使用する予定の研究費が生じた状況としては,平成24年度の研究時においては,まだ結果が流動的な部分が多かったことが挙げられる。当該研究の性格上,ある程度確定的な結果が出てから出ないと,次のステップの研究計画を準備できない側面があり,研究費を効率的に運用するためにはやむを得ない措置であったと考える。 平成25年度においては,平成24年度における「次年度使用額」と合算して,以下の研究費使用計画に基づいて使用する予定である。 当該研究を推進するに必要な物品費(データ解析等に用いるコンピュータ,大量の画像データをストックできる大用量ストレージ,細胞培養用消耗品費,形態学的・生化学的解析用消耗品費),研究成果発表に使用する旅費,論文投稿費等に使用する。
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Research Products
(3 results)