2013 Fiscal Year Research-status Report
細胞膜ドメインの“マクロ”クラスター形成機構とそのドライビングフォースについて
Project/Area Number |
24590264
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
野村 隆士 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (20325161)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下村 敦司 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (50340237)
向後 晶子 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20340242)
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Keywords | ラフト / コロナウイルス / アクチン / クラスタリング |
Research Abstract |
細胞膜ドメインの“マクロ”クラスターは,リンパ球における免疫シナプスや,多細胞生物の発生における非対称分裂においても,重要な役割を担っていることが知られている。申請者らは,ウイルス侵入においても,この膜ドメインマクロクラスター形成が行われることを解析してきた。本研究の目的は,細胞膜ドメインの“マクロ”クラスター形成機構と,そのドライビングフォースを明らかにすることにある。 平成25年度は,前年度に引き続き,ヒトコロナウイルス-229Eのレセプター分子,CD13(ラフト分子で膜貫通タンパク質)を生細胞上で架橋し,膜ドメインの“マクロ”クラスタリング過程を解析した。その結果を以下に示す。 架橋CD13のクラスタリングには,直線的な方向性が認められ,そのクラスタリングには,直線の長軸方向に移動するものと,長軸に対して垂直方向へ移動するものの2つパターンがあることが,再現的に確認された。固定細胞において,この直線構造はアクチンフィラメントであることが示唆されたことから,EGFP-アクチン,mCherry-アクチン等を導入してアクチンフィラメントを可視化した生細胞において,CD13のクラスタリングを検討した。その結果,アクチンフィラメントのダイナミックな移動(以下,アクチンフィラメントフロー)に伴い,その長軸方向に移動するクラスタリング様式と,長軸に対して垂直方向に移動するクラスタリング様式が確認された。 上記CD13のクラスタリング様式が,他の分子でも認められる現象なのか,特にGPIアンカー型分子のような細胞膜外葉に限定されている分子の動態や,非ラフト分子の動態に関して知見を得る必要があり,このための解析を行う必要がある。 現時点では,CD13の架橋による細胞膜ドメインのマクロクラスタリングのドライビングフォース候補としては,アクチンフィラメントフローが考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究実施計画として,以下の4点を挙げていた。1)EGFP以外の蛍光タンパク質によるアクチンフィラメントフローを検出する系を作製し,CD13のクラスタリングとの関連性を再検討する。2)アクチンフィラメントを脱重合させた際のCD13の挙動を解析する。3)ラフト分子以外の膜分子の挙動とアクチンフィラメントフローとの関連性を検討する。4)アクチンフィラメントフローと,CD13のクラスタリングに連関する分子のスクリーニングを生化学的,形態学的に行う。この中で,1)に関しては,mCherryを用いてもアクチンフィラメントフローを検出でき,かつCD13のクラスタリングもEGFPの時と同様に検出できた。これにより,アクチンフィラメントフローの現象と,それに付随するCD13のクラスタリング現象への信頼性が増したと言える。また,2),3)に関しては,まだ確定的なことを述べる段階にはないが,アクチンフィラメントの脱重合により,CD13のクラスタリングに支障がでること,それに,CD13以外の分子に関しても,アクチンフィラメントフローが重要な役割を担っているらしい現象が,検出できつつある。4)に関しては,今後の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
ラフトのマクロクラスタリング機構の解明に向けて,以下の研究を行う。 1)アクチン以外の分子を蛍光標識することでアクチンフィラメントフローを検出する系を作製し,CD13のクラスタリングとの関連性を再検討する。2)アクチンフィラメントを脱重合させた際のCD13の挙動をさらに解析する。3)CD13以外の膜分子の挙動とアクチンフィラメントフローとの関連性を検討する。4)アクチンフィラメントフローと,CD13のクラスタリングに連関する分子のスクリーニングを生化学的,形態学的に行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に使用する予定の研究費が生じた状況としては,平成25年度の研究時においては,まだ実験方向が確定し切れていない部分が多かったことが挙げられる。当該研究の性格上,ある程度確定的な結果が出てから出ないと,次の実験計画を準備できない側面があり,研究費を効率的に運用するためにはやむを得ない措置であったと考える。 平成26年度においては,平成25年度における「次年度使用額」と合算して,以下の研究費使用計画に基づいて使用する予定である。 当該研究を推進するに必要な物品費(顕微鏡関連備品,大量の画像データをストックできる大用量ストレージ,細胞培養用消耗品費,形態学的・生化学的解析用消耗品費),研究成果発表に使用する旅費,論文投稿費等に使用する。
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] 1. Targeted deletion of the C-terminus of the mouse adenomatous polyposis coli tumor suppressor results in neurologic phenotypes related to schizophrenia2014
Author(s)
Takanori Onouchi, Katsunori Kobayashi, Kazuyoshi Sakai, Atsushi Shimomura, Ron Smits, Chiho Sumi-Ichinose, Masafumi Kurosumi, Keizo Takao, Ryuji Nomura, Akiko Iizuka-Kogo, Hidenori Suzuki, Kazunao Kondo, Tetsu Akiyama, Tsuyoshi Miyakawa, Riccardo Fodde, Takao Senda
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Journal Title
Molecular Brain
Volume: 7
Pages: 1-14
DOI
Peer Reviewed