2013 Fiscal Year Research-status Report
ENaC制御因子を分子標的としたフラボノイドによる食塩感受性高血圧抑制機構の解明
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24590283
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
新里 直美 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00237645)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸中 良典 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00127036)
細木 誠之 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30433254)
中島 謙一 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40398392)
宮崎 裕明 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30360027)
横山 紀子 京都府立医科大学, 医学部, 研究員 (40112958)
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Keywords | ENaC / 食塩感受性高血圧 / ケルセチン / フラボノイド |
Research Abstract |
我々は、これまでにDahl-salt sensitive rat (DSラット:高食塩食摂取で高血圧を発症するモデル動物)を用いて、高食塩食を摂取したときにアルドステロンに対する応答が破綻しており、血漿アルドステロン濃度が減少しているのに腎臓での上皮型Na+チャネル(ENaC)を介したNa+再吸収が亢進して、容量性高血圧を発症することを見出すとともに、フラボノイドがENaC遺伝子発現を抑制して食塩感受性高血圧発症(DS)ラットで血圧上昇を有意に抑制することを見出している. 本研究の目的は、食塩感受性高血圧発症の抑制に有効であることを見出したフラボノイドの一種であるケルセチンに注目し、その作用機序を解明することで食塩感受性高血圧の予防や治療に貢献することである.本研究では、ケルセチンの標的分子は、ENaCの活性化に関与するプロスタシンとENaCの発現に関与するRac1であるという研究仮説を立て、研究を進めている.皮質集合管主細胞では、アルドステロンはNa+再吸収を亢進することが知られている.現在までに、我々は、まずケルセチンがアルドステロンにより亢進したENaCを介するNa+再吸収を短時間で著しく抑制することを見出した.そのメカニズムとしてENaCの活性抑制やエンドサイトーシスの亢進が考えられる.そこで、ENaCの膜発現に対するケルセチンの効果を検討したところ、阻害されている可能性が示唆されており、ケルセチンによるNKCC活性化との関連性にも注目してさらに詳細に検討している. 一方で、我々はフラボノイドが食塩感受性高血圧を抑制するメカニズムとして、ケルセチンがNa+/K+ ATPaseの活性を直接阻害することによりナトリウム再吸収を抑制するメカニズムがあることを新たに見出しており、ENaCとNa+/K+ ATPaseへの詳細な影響についても検討している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、食塩感受性高血圧発症の抑制に有効であることを見出したフラボノイドの一種であるケルセチンに注目し、その作用機序を解明することで食塩感受性高血圧の予防や治療に貢献することである.そこで、ケルセチンの標的分子は、ENaCの活性化に関与するプロスタシンとENaCの発現に関与するRac1であるという研究仮説を立て、研究を進めている.研究仮説で示したケルセチンの標的の1つとである、プロスタシンへの影響についての結果を得ており、さらに研究仮説で想定いなかった新たな標的としてNa+/K+ ATPaseを見出すことができているので、おおむね順調に進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、研究仮説で想定したもう1つのケルセチンの標的であるRac1(small G protein)についての影響を詳細に検討し、最終的にケルセチンがどのようなメカニズムでNa+再吸収を制御しているのかについて統合的な結論が得られるように研究を進めていく予定である.
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Research Products
(10 results)