2014 Fiscal Year Research-status Report
エイズの細胞侵入蛋白を利用したガン細胞マスターシグナル分子の解明
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24590301
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
水上 洋一 山口大学, 大学研究推進機構, 教授 (80274158)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高村 歩美 鳥取大学, 医学部, 講師 (90508368) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | がん / シグナル伝達 / リン酸化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では細胞レベルでがん化に関与するタンパク質を同定するために、TATタンパク質を用いたタンパク質導入法とミトコンドリア活性測定による新しいスクリーニング法を確立した。この手法を用いてエストロゲン非依存性乳がん細胞MCF-7より分離した3つのPeak A、B、Cについてミトコンドリア活性の測定を行ったところ、Peak Cにおいてミトコンドリア活性の低下が確認された。質量分析計による解析の結果、Peak Cに含まれるタンパク質をHistone H4と同定した。このことから、Histone H4がミトコンドリア活性を抑制する可能性が示唆された。今後はHistone H4がどのようにしてミトコンドリア活性を抑制するのか検討を行っていく。 Peak AおよびPeak Bについてはタンパク質精製の途中で活性が消失した。分離の途中でタンパク質の分解や脱リン酸化によって活性の消失が引き起こされた可能性がある。そのため、今後抽出タンパク量を増やし、感度を上げる必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
タンパクを同定する質量分析計がトラブルを起こし、修理する時間が必要であった。質量分析計だけでなく前処理HPLCのチューブの劣化も確認され、チューブの総交換を行い、再度解析を行った。このトラブルの過程で精製したタンパク質の多くが損失し、再度精製し直す必要が生じた。修理後、解析したタンパクは一部同定されたが、大量に存在するタンパクが同定されており、目的とするがん活性化因子であることを確認する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
質量分析計が安定している状況で、さらに大量のタンパクから精製をやり直す必要がある。このため、解析カラムの用量を増やすために従来のカラムをタンデムにつなぎ、精製を行う。さらに大量のタンパクを抽出し、活性を測定する。タンパク精製が不調の場合は、抗体アレイや次世代シークエンス解析を行うなど代替方法を検討する。
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Causes of Carryover |
精製したタンパク質を同定している段階で解析機器(質量分析計)の不具合が発生し、修理を行ったが、感度が回復せず、同定できなかった。このため、再度、タンパク精製をやり直し、質量分析計での同定を始めている。タンパク精製は、1回の実験に3ヶ月程度かかるため、実験計画が遅れ、未使用額が発生した。現在、再精製は順調に進み、質量分析計のテストランが完了すれば、標的タンパク質が同定できる段階にきている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
細胞レベルで同定されたタンパク質の確認実験を行い、研究結果の最終確認を行う。このため、細胞培養、遺伝子解析実験、大腸菌の培養などに使用する。また、未知の遺伝子が同定された場合は、動物を用いて遺伝子が癌化を誘導することを検討する。このため結果次第では、一部の費用を動物購入費に充当する。
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