2014 Fiscal Year Annual Research Report
マウス大腸癌肝転移モデルにおけるヒスタミンの転移抑制効果とその応用
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24590322
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
倉増 敦朗 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90302091)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 清 独立行政法人国立がん研究センター, 先端医療開発センター, 分野長 (30346564)
玉田 耕治 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00615841)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ヒスタミン / ヒスチジン脱炭酸酵素 / 大腸癌 / 肝転移 / 制御性T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウス大腸癌肝転移モデルにおけるヒスタミンの転移抑制機序を検討した。 内因性ヒスタミンの有無により生存期間に差が出るという結果をふまえ、肝転移処置後に肝臓のヒスタミン含有量が経時的にどのように変化するかを調べた。Balb/cマウスを用いて肝転移処置を施したのち、7、14、21日後に肝臓を摘出しヒスタミン含有量を測定した。対照群として偽手術を施したマウスを用いた。7日後及び14日後では、肝ヒスタミン含有量はそれぞれ0.4、0.35 pmol/mgと対照群に比べ差はなかったが、21日後では1.8 pmol/mgであり、対照群よりも有意に増加した。 脾臓および肝臓における免疫細胞の経時的な数的変化を野生型マウスとヒスタミン合成酵素欠損マウスで比較した。脾臓では、制御性T細胞がヒスタミン合成酵素欠損マウスで肝転移処置後3、7、14日後いずれの時点でも増加していた。肝臓では、処置後7および14日において制御性T細胞が、ヒスタミン合成酵素欠損マウスで増加していた。また、樹状細胞が処置後14日で、ヒスタミン合成酵素欠損マウスで減少していた。 以上の結果から、ヒスタミンによる肝転移抑制機序には、ヒスタミンによる制御性T細胞の増殖抑制が関与していることが示唆された。肝転移処置後早期においては肝全体のヒスタミン含有量に有意な変化は認めないが、腫瘍微小環境においては何らかの細胞から産生されたヒスタミンにより免疫細胞数に変化が生じたと考えられる。マスト細胞からのヒスタミンがヒスタミンH1受容体を介して制御性T細胞の増殖を抑制するという報告がある。内因性ヒスタミンの欠如によりこの抑制が解除された結果、制御性T細胞が増殖し、結果的に腫瘍に対する免疫が抑制され、生存期間の短縮につながったと予想される。
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