2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24590353
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中川 誠人 京都大学, iPS細胞研究所, 講師 (10379539)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | iPS細胞 / 初期化 / プロテオミクス / プロテオーム解析 / 転写因子 |
Research Abstract |
本年度は質量分析装置(MS)を用いた蛋白質の同定技術の改良を進めた。メートル長モノリスカラムを用いることで質量分析における解像度が飛躍的に向上し蛋白質 の同定数向上に寄与することが分かってきており、この技術を用いてまずはiPS細胞とそのもとになっている線維芽細胞のプロテオミクスを行い、試料間の比較を行ったその結果、iPS細胞中に発現しているタンパク質全体(プロテオーム)を世界最大規模で網羅的に解析することに成功した。ヒト線維芽細胞中のプロテオーム発現プロファイルと比較することにより、今回同定された9510種のタンパク質のうち、約25%にあたる2366種のタンパク質はiPS細胞選択的に発現していることが分かった。この中には、遺伝子からタンパク質への転写過程に関わる転写制御タンパク質が集中しており、そこには人工多能性を誘引する山中4因子やすでに多能性マーカーとして知られているタンパク質群も含まれていることが確認された。本研究では、いままでタンパク質レベルではその存在が確認されていなかった1091種のタンパク質の発現があらたに確認され、その中にはiPS細胞選択的に発現し転写制御機能を有する多能性マーカー候補タンパク質も含まれていた。本研究で用いた計測システムは、従来のものに比べて50分の1以下の試料量で3倍の高速測定が可能であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標は解析系のチューンアップであったが、モノリスカラムを用いた解析系を用いることで体レベルでの解析が可能となっている。この点は計画通り順調に進展していると考える。この解析系を用いて体細胞とiPS細胞のプロテオーム解析が可能であることも示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は体細胞からiPS細胞に細胞が変わる際に発現の変化する蛋白質の同定を行う。そのためにはiPS細胞と分化細胞のプロテオミクスの数を増やしデータを蓄積していく。蓄積されたデータを元に鍵となるタンパク質のデータベース化を進める。この際、遺伝子発現との比較を行い相違点・矛盾点を洗い出しておく。また、特定のタンパク質、特にMycの初期化における機能解析を進める。分化細胞およびiPS細胞において結合するタンパク質の同定を行い複合体(機能ユニット)の同定を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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