2014 Fiscal Year Annual Research Report
新規脂質代謝酵素群PLA/ATファミリーの内因性基質の同定とそれらの生理機能解析
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24590355
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
宇山 徹 香川大学, 医学部, 助教 (30457337)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | PLA/ATファミリー / HRASLSファミリー / 脂質代謝酵素 / アシル転移酵素 / ホスホリパーゼA1/A2 / リン脂質 / N-アシルホスファチジルエタノールアミン / N-アシルエタノールアミン |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、癌抑制遺伝子として単離されていた5分子のHRASLSファミリー (HRASLS1-5) すべてがリン脂質を基質とした脂質代謝酵素活性を示すことを見出し、これらをphospholipase A/acyltransferase (PLA/AT)-1-5と名付けた。しかしながら、PLA/ATファミリーが細胞内においても酵素として機能しているか否かは明らかになっておらず、その生理機能には不明な点が多い。以前に我々は、PLA/AT-3を細胞で発現させると、細胞内小器官であるペルオキシソームが特異的に消失することを見出したが、その分子メカニズムは不明であった。そこで本年度は、PLA/AT-3が示すペルオキシソームへの影響について検討を行った。ペルオキシソームの形成にはペルオキシン (Pex) と呼ばれるタンパク質群が関与しており、中でもPex19pはペルオキシソーム膜タンパク質の細胞内輸送に関わるシャペロン分子として、ペルオキシソーム膜形成に必須の分子である。また、Pex19pを欠損した細胞ではペルオキシソームの消失が観察される。これより、PLA/AT-3の発現に伴うペルオキシソームの消失が、Pex19pの機能異常によって生じる可能性について検討した。PLA/AT-3とPex19pとの結合を免疫沈降法によって解析した結果、両分子の結合が認められた。この結合にはPLA/AT-3のN末端のproline-richドメインとC末端の疎水性ドメインが必要であり、PLA/AT-3の酵素活性には依存しなかった。さらにPLA/AT-3は、Pex19pがPex3pのようなペルオキシソーム膜タンパク質と結合するのを酵素活性依存的に阻害した。これより、PLA/AT-3は新規Pex19p結合タンパク質であり、同分子のシャペロン活性を阻害することでペルオキシソームの形成を負に制御する可能性が示唆された。
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