2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24590361
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
八幡 崇 東海大学, 医学部, 准教授 (10398753)
|
Keywords | 造血幹細胞 / 再生医療 / 線維素溶解系 / PAI-1 / 低分子化合物 |
Research Abstract |
難治性血液疾患に施行される造血幹細胞移植は、化学療法に不応となった患者にとっては最後の治療手段であり、その成否は患者の予後や生存率を大きく左右するものである。より安全で成功率の高い臍帯血移植法を確立するためには、移植初期における造血回復を可能な限り効率よく迅速に達成させ、造血系の恒常性を長期間にわたって維持する方法の確立が重要である。 本研究の遂行により、(1)移植前処置である放射線照射によって、骨髄内で線溶系が活性化されることを示した。(2)しかし、放射線照射は線溶系の阻害因子であるPAI-1の産生も誘導してしまう事を見いだした。(3)PAI-1は骨髄ニッチである骨芽細胞からの産生が誘導されることが明らかとなった。(4)PAI-1遺伝子欠損マウスを利用した移植実験では造血再生が亢進する事から、ニッチから産生されるPAI-1分子は造血再生を負に制御していることを明確にした。そこで、PAI-1阻害剤の造血再生における有効性を検討した。そして、(5)PAI-1阻害薬を用いてPAI-1活性を抑制することによって、t-PA主導の線溶系が活性化され、造血因子の発現上昇を促進することを明らにした。(6)移植時にPAI-1阻害剤を投与すると、造血再生の迅速化が促進し、致死量放射線からの個体死の保護が実現した。さらに、(7)PAI-1阻害剤の投与は、造血幹細胞の増幅を誘導し、長期間にわたる造血系の恒常性の維持が達成されることを明確にした。 本研究成果は、日本血液学会などで公表した。さらに、学術論文として受理され掲載された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PAI-1阻害剤を利用した造血再生研究については、設定した課題は概ね達成され、論文発表に至った。PHD阻害剤について、やや進展が遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
PAI-1阻害剤の検討で用いた手法をPHD阻害剤に適用し、研究計画の推進を図る。さらに、PAI-1阻害剤については、移植以外の適応拡大について検討を行う予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
4月以降に13,000円相当の試薬を購入する必要が生じたため。 サイトカイン測定用の試薬を購入する。
|
Research Products
(5 results)
-
-
-
[Journal Article] RUNX1/AML1 mutant collaborates with BMI1 overexpression in the development of human and murine myelodysplastic syndromes.2013
Author(s)
Harada Y, Inoue D, Ding Y, Imagawa J, Doki N, Matsui H, Yahata T, Matsushita H, Ando K, Sashida G, Iwama A, Kitamura T, Harada H.
-
Journal Title
Blood
Volume: 121
Pages: 3434-3436
DOI
-
-