2014 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素誘導因子HIFが転写誘導する接着分子遺伝子の細胞遊走能亢進における役割
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24590364
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
神奈木 玲児 愛知医科大学, 公私立大学の部局等, 客員教授 (80161389)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 低酸素 / CD44 / ヒアルロン酸 / 細胞運動能 / Boydenチェンバーアッセイ / 創傷治癒アッセイ / アイソザイム / 蛍光基質 |
Outline of Annual Research Achievements |
従来から我々は低酸素によって細胞接着分子に大きな変化が誘導され、それに並行して細胞運動能・遊走能が亢進することを見いだしていた。前々年度・前年度の成績から、この低酸素による運動能の亢進においては、特にCD44とその特異的リガンドであるヒアルロン酸糖鎖との結合を介した細胞接着に関与する分子が重要な役割を演じることが判明している。本年度は前々年度・前年度にひきつづき、特にこのうちヒアルロン酸糖鎖の合成と分解を行う酵素の遺伝子についての検討を継続した。また、従来から我々は低酸素の細胞運動能・遊走能に対する影響の測定にはBoydenチェンバー法を用いてきたが、本年度は感度および定量性の向上を目指して創傷治癒アッセイ(Wound Healing Assay、スクラッチアッセイ)による測定をも合わせて試みた。創傷治癒アッセイにおいても低酸素によって細胞運動能・遊走能の亢進が観察され、ヒアルロン酸糖鎖の合成と分解を行う酵素の遺伝子に対するshRNAを導入した細胞では運動能が抑制される傾向が観察された。この方法では顕微鏡観察が可能であるので、細胞運動能の亢進の過程をビデオ撮影することに成功した。しかし両方法によるアッセイの感度と定量性を比較すると、低酸素に関わる実験の場合はBoydenチェンバー法のほうが創傷治癒アッセイよりも優れていた。この理由は、おそらく低酸素によって産生された遊走物質の濃度勾配が、細胞遊走能の亢進において重要な因子となっているためであると考えられた。また、ヒトのヒアルロン酸分解酵素には、基質特異性がヒアルロン酸の鎖長に依存するいくつかのアイソザイムがある。異なる鎖長の蛍光標識ヒアルロン酸基質を用い、それぞれのアイソザイムのリコンビナント酵素を標準物質として、アイソザイム別に酵素活性を測定するための活性測定系の樹立を試みた。
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Research Products
(3 results)