2012 Fiscal Year Research-status Report
分子異常に基づいた肺腺がんの分類と浸潤・転移機構の解明
Project/Area Number |
24590421
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
大橋 健一 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40231203)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥寺 康司 横浜市立大学, 医学部, 講師 (10326027)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 肺がん / 腺がん |
Research Abstract |
肺腺がんの発生、進展におけるにおいて分子基盤を明らかにするため、本年度は変異型EGFR遺伝子によって誘導される分子変化の探索を行った。レトロウィルスを用いて不死化気道上皮細胞株にEGFRのexon 19 の欠失遺伝子とexon 21 L858R 点突然変異遺伝子とを導入し、細胞の変化、遺伝子変化を解析した。 結果、野生型のEGFR遺伝子、空ベクターを導入したコントロールの細胞と比較して、変異型遺伝子を導入した細胞では顕著な増殖の抑制と、核の腫大や多核化等の細胞異型を認めた。がん遺伝子と考えられている変異型EGFR遺伝子による増殖の抑制は新知見と思われた。変異型EGFR遺伝子の導入によって誘導される下流分子を検索するために、マイクロアレイ解析により網羅的に候補遺伝子を検索した。空ベクタ―導入細胞と比較して、変異型導入細胞株では、CCL3(chemokine C-C motif ligand C), IL24 , IL1B, IL1Aなどのcytokineの活動に関わる遺伝子の高発現が見られた。他にはkeratin 6A, 6B, 6C, dehydrodolichyl diphosphate syntase, ras supressor protein 1, cysteine-rich C-terminal 1, hydroxy-delta-5-steroid dehydrogenase 3b, matrix metalloproteinase 1などの発現が亢進していた。ヒト肺癌細胞株においてCCL3のmRNAの発現を検討した。マイクロアレイ結果の通り、変異型導入細胞株の高発現は確認できたが、検索した範囲内ではヒト肺癌細胞株では有意な発現の上昇は見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
変異型EGFRベクターの調整、不死化気管支上皮細胞への遺伝子導入実験が当初難航し、予定より研究の進行は遅れた。しかし、導入実験が成功した後は遅れを挽回している。最終的にはDNAマイクロアレイを用いて、変異遺伝子を導入した細胞における遺伝子異常の網羅的探索を行うことができ、一部の遺伝子についてはヒト肺がん細胞株における発現の検索もできた。
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Strategy for Future Research Activity |
DNAマイクロアレイによる検索の結果、変異型EGFR遺伝子の導入によって変化が起こる遺伝子の候補が明らかになったが、その中にヒト肺がん細胞株、ヒト肺がん臨床検体において実際発現が亢進しているものがあるのか検討する。 以前の研究で変異型K-RASを同一の細胞に導入した実験も行っているが、RAS遺伝子の導入と共通して起こる遺伝子、EGFR導入に特異的に起きる遺伝子があるのか否か明らかにしたい。 また、それぞれの遺伝子発現の意義をヒト材料を用いて検討したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
変異型EGFR遺伝子導入細胞で高発現されている遺伝子群について、ヒト肺がん細胞株を用いて順次高発現されているのか検証していく。今年度は研究の遅れから、ヒト肺がん細胞株における発現の検討が十分できず、繰越金が生じてしまったが、次年度ではchemokine関連の遺伝子群から検討を始め、研究の遅れを取り戻す予定である。 ヒト肺がんデータベースの整備を行う。肺がん手術検体から採取されたパラフィン封埋材料、凍結検体を用いてEGFR, RAS, ALKなどの遺伝子変異を検索し、組織学的分類、臨床病理学的事項以外にも遺伝子異常について明らかにしてデータベースを整備していく。ヒト肺がん細胞株で高発現されている遺伝子群については、整備されたデータベースの検体を用いてヒト肺がん組織における発現を検索し、組織像、臨床病理学的事項との関連を解析する。
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[Journal Article] Elevated microsatellite alterations at selected tetra-nucleotide (EMAST) in non-small cell lung cancers--a potential determinant of susceptibility to multiple malignancies2013
Author(s)
Arai H, Okudela K, Oshiro H, Komitsu N, Mitsui H, Nishii T, Tsuboi M, Nozawa A, Noishiki Y, Ohashi K, Inui K, Masuda M
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Journal Title
Int J Clin Exp Pathol
Volume: 6
Pages: 395-410
Peer Reviewed
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[Journal Article] Downregulation of ALDH1A1 expression in non-small cell lung carcinomas--its clinicopathologic and biological significance2013
Author(s)
Okudela K, Woo T, Mitsui H, Suzuki T, Tajiri M, Sakuma Y, Miyagi Y, Tateishi Y, Umeda S, Masuda M, Ohashi K
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Journal Title
Int J Clin Exp Pathol
Volume: 6
Pages: 1-12
Peer Reviewed
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[Journal Article] Expression of the potential cancer stem cell markers, CD133, CD44, ALDH1, and β-catenin, in primary lung adenocarcinoma - their prognostic significance2012
Author(s)
Okudela K, Woo T, Mitsui H, Tajiri M, Masuda M, Ohashi K
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Journal Title
Pathol Int
Volume: 62
Pages: 792-801
DOI
Peer Reviewed
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