2013 Fiscal Year Research-status Report
乳癌におけるミトコンドリアDNA―Dループ領域変異解析を用いた癌細胞系譜の解明
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24590433
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
増田 しのぶ 日本大学, 医学部, 教授 (20276794)
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Keywords | 乳癌 / ミトコンドリアDNA / クロナリティー / 癌細胞系譜 |
Research Abstract |
本研究は、最終的に乳癌の発生進展過程の解明および治療の適正化に貢献することを目標としている。平成25年度は、遺伝子変異多様性のある症例の抽出を目的として以下の検討を行った。 材料:ヒト乳がん組織のホルマリン固定、パラフィン包埋切片。対象:2010~2012年に当院において手術を施行された症例。 方法:①免疫染色によりHER2 2+ あるいは3+と評価された症例について、HER2 dual ISH DNA assayを用い、以下の点について解析した。②HER2 polysomyの定義は、CEP17シグナル数の平均が3以上(Hanna WM, et al. Mod Pathol 27; 4-18, 2014)とした。③HER2 genetic heterogeneityの定義は、HER2/CEP17>2.2の細胞が、>5%, <50%みられる症例 (Hanna WM, et al. Mod Pathol 27; 4-18, 2014)とした。 結果:①CEP17 polysomyは14.7%に、genetic heterogeneityは17.6%に指摘された.②Polysomyが指摘された症例とgenetic heterogeneityが指摘された症例に重複はみられなかった。③genetic heterogeneityはHER2遺伝子増幅のない症例にやや多い傾向がみられたが、統計学的有意差は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
交付申請書研究実施計画に従って研究をすすめている。 平成24年度の研究実施計画項目2の達成について、時間的見積もりが不十分であったため、平成25年度計画達成についてもやや遅れが生じている。 具体的には、平成24年度研究実施計画項目2を遂行するためには、1991年から2013年の乳癌症例2136例のデータベース構築作業が必要であったが、この作業に関する時間の見積もりが不十分であった。しかしながら、平成25年度は、これらのデータベース作業を完了させると同時に、HER2遺伝子増幅に多様性が観察される症例の抽出に取り組んだ。遺伝子変異多様性の解析のために、polysomyおよびgenetic heterogeneityの定義ならびに評価方法についての基礎的検討を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
遺伝子変異多様性は、個々の癌細胞単位で観察され、必ずしも遺伝子変異を有する癌細胞集塊を形成してはいないことが明らかになってきた。遺伝子増幅と蛋白過剰発現との関係を形態学的に観察する方法として、in situ hybridization法ならびにimmunohistochemistry法を併用して同一細胞における遺伝子・形質多様性を確認する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
目標の達成度および今後の研究の推進方策の項において記載したように、今年度は、データベース構築ならびに遺伝子変異多様性の解析のための基礎的検討を行ったため、次年度使用額が生じた。 現在までの検討から、同一細胞における遺伝子・形質多様性を確認する必要性が生じてきたため、次年度において顕微鏡の蛍光対応のための物品費に使用する計画である。
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