2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24590476
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
北川 昌伸 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (10177834)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アポトーシス / MCM2 / 動物モデル / がん治療モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はC3Hマウスにおいてレトロウイルスの一つであるフレンド白血病ウイルス(FLV)の感染が放射線誘発p53依存性アポトーシスを著明に増強する実験系を見出した。FLVに感染したC3Hマウスに低線量の放射線を全身照射すると、マウスは照射後2週間で著明な貧血を起こして死亡し、骨髄造血細胞には高頻度のアポトーシスが観察される。ところがこの現象はC3H以外の系統のマウスでは起こらない。この現象に関与する宿主特異的因子を同定するため、FLV接種後に放射線照射したC3HマウスとDBAマウスの骨髄より採取した蛋白のTOF-Mass解析を行い、MCM2という分子がC3Hマウス特異的に見出された。in vitroの実験系を用いてこの現象の機序を徹底解明したところ、新たなアポトーシス誘導経路に関わるMCM2の作用機構の全貌を解明することができた。MCM2の本来の機能はDNA複製の際に必要な helicase作用であり核内で機能する。MCM2はFLV由来のgp70蛋白と結合することにより核内移行が阻害され、細胞質内にとどまることでDNA-PKの活性化、p53依存性アポトーシスを誘導することがわかった。この細胞内局在変化に伴う作用転換を応用すれば、多くの腫瘍で発現が増強していることが知られているMCM2の作用をアポトーシス誘導へと向かわせるシグナルに変換することができると考えられる。 そこで、まず特異的結合分子を用いたMCM2の機能修飾によるin vivoでのマウス白血病治療実験系の開発を進め、gp70をFLV感染で導入することで有効な治療モデルを作成することができた。 次に、FLVを用いずにgp70を細胞内に導入することを目標とした実験を行った。gp70を細胞内導入蛋白と結合させることにより、in vitroの実験系で線維芽細胞や上皮系細胞の細胞質内にgp70を導入することが可能になった。さらにこの系を進めて上皮系腫瘍の治療が可能かどうかを探索する予定である。
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Research Products
(5 results)