2012 Fiscal Year Research-status Report
原発性肝硬変等慢性炎症性疾患に関与するレンサ球菌のゲノムと病原因子解析
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24590536
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
菊池 賢 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60214748)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 原発性胆汁性肝硬変 / S. intermedius / S. anginosus group / S. constellatus / histone-like protein / horizontal transfer / house keeping gene / Streptococcus anginosus |
Research Abstract |
SIに近縁の菌種としてS. anginosus group (SAG)にはS. anginosus (SA), S. constellatus (SC)が存在し、histone-like protein (HLP)などの病原因子候補の配列も近い。PBC患者5名、健常者22名、他の自己免疫疾患として、自己免疫性膵炎 (AIP) 11例、他の自己免疫疾患4例の計42名の歯周ポケットサンプルからSAG 56株 (SA 22, SC 18, SI 16株)を得た。PBC患者は5名中5名全てSAGのいずれかの菌種、1人平均2.6株を同時に持っていた。一方で、AIPでは0.9株、健常者で1.1株とPBCは複数の菌株を同時に保有する傾向が強かった。同時に複数のSAGが存在することがPBC発症や進展にどのように影響するのかは今後の検討課題である。一方、得られたSC, SIのHLPのアミノ酸配列は100%一致しており、molecular mimicの対象はSIのみならずSCも関与していることが示唆された。得られたSAG各菌種の遺伝的背景を比較すると、SAは非常に多様性に富んでいる一方、SIは比較的均一なクラスターを形成した。SCは少なくとも遺伝的に4つのクラスター、1つは未知のsubspeciesに分類された。各SAGのgroEL, gyrB, rpoB, ddl, dnaJの全塩基配列比較を行うと、SAではSC, SI由来の断片とのモザイク構造を示すrpoB, groELが多数存在しており、水平伝播によるhousekeeping geneの組み替えが少なくともSI, SC→SAでは頻繁に起こっていることが示唆された。SAGの中でもSAはニッチな環境に棲息するSI, SCと異なりその分布領域が広いが、SAは積極的に他のSAGの遺伝子を取り込むことで、多様な環境に適応していると推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は平成25年度の研究計画にあるSAGの系統的再分類の研究を先行させ、SAGの中ではSAが他の菌種からのhouse keeping geneの水平伝播による遺伝的多様性を獲得し、広い環境への生育を可能としているのに対し、SC, SIはニッチな環境に定着し、独自の進化を遂げている様子を明らかにした。同定に使用されるようなhouse keeping geneの伝播、組み替えが存在することは、SAGの中における「species」の概念を見直さなければならないと同時に、speciesをどのように規定すべきかという問題提起を含んでいる。同様の現象はStreptococcus pneumoniae-mitis-oralisでも確認しており、水平伝播による遺伝子組み換えが起こる菌種内での系統分類の概念を変える必要性がある。これは当初の主目的であったPBCの原因解明とは違った成果ではあるが、レンサ球菌の進化の方向性を捉える普遍的な内容を含んでおり、科学的意義は大きい。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、次世代シーケンサーによる多様なSAG各菌株のdraft genome sequenceを解読しており、SAGにおける遺伝子の水平伝播パターンにどのような規則性、方向性があるのか、菌株の存在部位(由来)との比較から、進化の引き金になる法則性を検索している。PBCの病因に関しては、その進行にかかわるgp210との免疫交差反応が証明されているHLPの配列がSC, SIで共通であることを考えても、単一の要因で説明するのは難しい。ILY, Neuraminidaseなど他の病原因子との絡みがあるので、遺伝子の水平伝播を起こしやすいSA株をhostとしたHLP (SI, SC起源), ILYなどの導入、組み換え株を作成して、PBC model実験を実施する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
SA, SC基準株のgap closing(Rosche 454でのデータ取得、アセンブルを外部委託)費用として120万円、解析次世代シーケンサーMiSeqでのSAG株のre-sequencingやHLP組み替え株作成の試薬、キット、消耗品などに80万円を予定している
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Involvement of commensal bacteria may lead to dysregulated inflammatory and autoimmune responses in a mouse model for chronic nonsuppurative destructive cholangitis.2012
Author(s)
Haruta I, Kikuchi K, Nakamura M, Miyakawa H, Hirota K, Kato H, Miyakawa H, Shibata N, Miyake Y, Hashimoto E, Shiratori K, Yagi J.
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Journal Title
J. Clin. Immunol.
Volume: 32
Pages: 1026-1037
DOI
Peer Reviewed
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