2014 Fiscal Year Research-status Report
原発性肝硬変等慢性炎症性疾患に関与するレンサ球菌のゲノムと病原因子解析
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24590536
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
菊池 賢 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (60214748)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 原発性胆汁性肝硬変 / S. intermedius / S. anginosus / S. constellatus / S. anginosus group / competence / transformation |
Outline of Annual Research Achievements |
原発性胆汁性肝硬変 (PBC) は主に中年以降の女性に発症する肝臓の小胆管周囲の慢性非可能性炎症を主体とする原因不明の自己免疫疾患である。我々はこれまでにPBCのmolecular mimicとなる微生物として、S. anginosus group (SAG) の中のStreptococcus intermedius (SI) の関与を明らかにしてきた。以前、報告しているようにSAGの中で、house-keeping geneであるrpoB, 16S rDNA, groELなどには種々のchimeraが存在しており、SAGの中で頻繁に遺伝子の組み替えが起こっており、多様な環境に対応するSAG各菌種の能力の一因となっていると考えられた。そこで、本年度はSAGのうち、未解明だったS. anginosus, S. constellatus標準株の全ゲノム配列を決定し、アノテーションを実施した。そのデータを元にSAGの遺伝子組み換えに重要な役割を果たす、competence factor operon, comCDEについて、SAG 234株について解析した。SAGには6タイプのcompetence stimulating peptide が存在し (CSP1-1, 1-2, 1-3, 2-1, 2-2, 2-3と命名)、CSP1-1がSC, SAでは70%程度、SIでは95%がこれを占めていた。これらの株間では種を越えてtransformationが起こっていた。一方、SAではCSP2-1が、SCではCSP2-3が残りの多くを占めており、これらはそれぞれの菌種内での系統維持に関わっていると考えられた。217株 (92.7%)のcomCDEはインタクトであったが、残りの株はindel, frameshiftなどにより機能しておらず、必ずしもcomCDEは生存に必須のシステムではなかった。これらのことより、SAGのうち、SA, SCの環境への多様性が裏付けられると同時に、SIがほぼ単一のcompetence systemを維持している事は、ニッチな環境に特化したSIの進化過程を裏付けていると思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者は平成26年4月に順天堂大学感染制御科学から東京女子医科大学感染症科に移籍した。移籍先の研究室では多大な被害を受けた東日本大震災以後、研究がほとんど行われておらず、設備も耐震構造の問題から入室禁止処置がされている状況であった。新しい研究室の確保、整備が完了し、どうにか研究が再開できるようになったのが平成27年2月になってからであった。このため、前の所属教室などで細々とゲノム解析を行う以外に研究が進まず、最終年度に相応わしい十分な成果をあげることができず、研究期間の1年延長を申請した。
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Strategy for Future Research Activity |
既にSAG 3菌種のゲノム解析は終了し、SCについてはannotation終了、genebankへ登録が済んでいる。SAGの多様性の一方で、実際に動物実験でPBCを再現出来るのはSIのみであることから、SI-specificな因子がPBC発症の鍵を握ると思われる。3種のゲノム比較から候補を絞り、最終的には各deletion mutantを作成して、PBC発症のメカニズムを解明したい。また、competence systemによるhouse keeping geneの水平伝播ーhomologous recombinationはSAGの「菌種」分類を困難にしている。そこで、SAG各菌種のANI (Average nucleotide identity) を実施し、SAGの系統進化を明らかにしたい。
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Causes of Carryover |
研究者が移籍により、研究続行のため、新しい研究室を整備、立ち上げる必要が生じた。実際の研究室工事が完了し、整備、使用が可能になったのが平成27年2月であり、この間、以前の研究室を借りる等以外に実験遂行ができなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
SAG各菌種のANI解析に用いる試薬等に使用する予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Frequent occurrence of fever in patients who have undergone endoscopic submucosal dissection for colorectal tumor, but bacteremia is not a significant cause.2014
Author(s)
Izumi K, Osada T, Sakamoto N, Kodani T, Higashihara Y, Ritsumo H, Shibuya T, Nagahara A, Ogihara T, Kikuchi K, Watanabe S.
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Journal Title
Surg Endosc
Volume: 28
Pages: 2899-2904
DOI
Peer Reviewed
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