2014 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルスによる自然免疫の活性化と抑制の新たなメカニズム
Project/Area Number |
24590570
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
押海 裕之 北海道大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (50379103)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 自然免疫 / ウイルス / インターフェロン / C型肝炎ウイルス / ユビキチン |
Outline of Annual Research Achievements |
自然免疫応答はウイルスの抑制に必須の役割を果たす。自然免疫応答の一つとして、ウイルス感染細胞から分泌されるI型インターフェロンは、強い抗ウイルス作用を持つ。RNAをゲノムに持つウイルス感染時には、細胞質内のRIG-IやMDA5等の分子がウイルスRNAを認識し、I型インターフェロン産生を誘導する。我々は、このI型インターフェロン産生の分子機構の研究を進め、RIG-I分子の活性化には我々が発見したユビキチンリガーゼであるRiplet分子が非常に重要な働きをすることを報告した。特に、Riplet分子はRIG-IのC末端領域を63番目のリジンを介したポリユビキチン修飾することにより、RIG-Iを活性化状態にすることを解明した。また、逆にC型肝炎ウイルス等は、持続感染する為に、Riplet分子を切断することを発見した。これは、C型肝炎ウイルスが、ヒトの肝細胞内に於いて、数十年に亘り持続感染し続けることができるメカニズムの一つであると考えられる。 最近の研究から、C型肝炎ウイルスの抑制にはIII型インターフェロンが重要な働きをすることが報告されている。我々はこのIII型インターフェロン産生機構の研究を進めたところ、C型肝炎ウイルスに感染したヒトの肝細胞から放出されるエクソソームが、古典的樹状細胞により認識されTLR3-TICAM-1経路を介してIII型インターフェロンが誘導されることを発見した。 DNAをゲノムに持つウイルスは、RIG-I又はcGAS分子により、そのゲノムDNAが認識される。ヒトとマウスの細胞を用い研究を進めたところ、ヒトとマウスではことなる経路が活性化していることを発見し、DNA認識経路には細胞特異性や種特異性があることを報告した。
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