2012 Fiscal Year Research-status Report
メモリーTリンパ球の生存/維持を制御するNotchシグナルの標的同定とその調節
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24590585
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
前川 洋一 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10294670)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 免疫記憶 / メモリーCD4T細胞 / Notchシグナル / グルコース代謝 |
Research Abstract |
本課題は免疫学的記憶の本態であるメモリーT細胞の維持機構を解明することを目的としている。メモリーCD4T細胞の維持にNotchシグナルが必須であるという我々の知見に基づき、Notchシグナルの標的遺伝子や標的経路を明らかにするために、DNAマイクロアレイによる網羅的解析を行った。その結果を基に、メモリーCD4T細胞の維持に関与するNotchシグナルの標的遺伝子(群)の選別を行っているところである。 網羅的解析を進めると同時にいくつかの代謝経路との関連について検討を行った。その結果、Notchシグナルが不全である抗原特異的CD4T細胞ではグルコースの取り込みが有意に低下していることを見出した。また、グルコース取り込みをバイパスする目的でピルビン酸を作用させると、Notchシグナルの欠損によるメモリーCD4T細胞維持不全が一部改善されることも観察された。そのため、Notchシグナルはグルコース代謝を制御することによりメモリーCD4T細胞を長期間維持していると考えられる。マイクロアレイ解析からはグルコース取り込みに関与するトランスポーター遺伝子の発現にNotchシグナルが直接関与しているとの結果は得られていない。そのため、Notchシグナルはトランスポーターを制御する分子の機能調節に関与しているのではないかと想定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までのところ、メモリーCD4T細胞の維持に必要であるNotchシグナルの標的遺伝子探索のためにDNAマイクロアレイ解析を実施し、関連遺伝子を選別中である。この解析は本研究課題の目的達成のために必須の解析のひとつである。結果を詳細に解析することにより標的遺伝子、標的経路を見出すことが出来ると考えている。 また、NotchシグナルはメモリーCD4T細胞のグルコース代謝を制御している可能性を見出している。この可能性についても更に検討を加えることにより、研究目的の達成に近づくことが出来ると考えている。 以上のことから、本研究課題初年度の結果は、研究目的の達成に対して概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題では免疫学的記憶の本態であるメモリーT細胞の生存機構を明らかにする点である。メモリーT細胞の生存にはNotchシグナルが必須であることを明らかにしており、さらにNotchシグナルはメモリーT細胞のグルコース代謝を制御していることも判明してきた。今後は、Notchシグナルを受けた抗原特異的メモリーCD4T細胞内でどのような機構、シグナル系が関与することによりグルコース代謝が制御されているのかについてさらに検討を重ねて行く予定である。 NotchシグナルはT細胞に発現するNotch分子(受容体)からのシグナルにより発動される。Notchシグナルにはリガンドと受容体の結合が重要であるが、メモリーT細胞にNotchシグナルを授与するリガンドが何であるのか、またどのような細胞に発現するリガンドが重要であるのかについては全く不明である。すなわち、メモリーT細胞が生存するためのNotchシグナル微小環境について明らかにする必要があると考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度には1,041円の未使用額が生じた。これは年度をまたいで行っている実験に用いる抗体試薬(1,041円より高額)を次年度の研究費と合わせて購入するために生じたものである。次年度に当該試薬を購入しても研究を実施する上で遅延等の不都合は生じない。従って、次年度には1,401,041円を使用予定である。 次年度には研究を実施する上で遺伝子改変動物の作出とその維持が必要と考えている。この費用に70万円を計上している。抗体、酵素類などの試薬として501,041円、細胞培養用試薬、プラスチック製品に10万円、成果発表用旅費として10万円を計上する。合計1,401,041円の研究費の使用を計画している。
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[Journal Article] Cbl-b is a criticalregulator of macrophage activation associated with obesity-induced insulin resistance in mice.2013
Author(s)
Abe T, Hirasaka K, Kagawa S, Kohno S, Ochi A, Utsunomiya K, Sakai A, Ohno A, Teshima-Kondo S, Okumura Y, Oarada M, Maekawa Y, Terao J, Mills E, Mikawa T.
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Journal Title
Diabetes
Volume: 未定
Pages: 未定
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Dll4-Fc, an inhibitor of Dll4-Notch signaling, suppresses liver metastasis of small cell lung cancer cells through the downregulation of the NF-kappa-B activity.2012
Author(s)
Kuramoto T, Goto H, Mitsuhashi A, Tabata S, Ogawa H, Uehara H, Saijo A, Kakiuchi S, Maekawa Y, Yasutomo K, Hanibuchi M, Akiyama S, Sone S, Nishioka Y.
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Journal Title
Molecullar Cancer Theraputics
Volume: 11
Pages: 2578-2587
DOI
Peer Reviewed
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