2014 Fiscal Year Annual Research Report
メモリーTリンパ球の生存/維持を制御するNotchシグナルの標的同定とその調節
Project/Area Number |
24590585
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
前川 洋一 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10294670)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 免疫記憶 / メモリーCD4 T細胞 / Notch / グルコース代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫記憶は適応免疫応答の重要機構のひとつである。免疫記憶は同一病原体再感染に対する生体防御に重要な役割を担っている。一方、自己反応性あるいはアレルギー性の免疫記憶は生体にとって有害である。免疫記憶はメモリーT細胞やB細胞が生体内に長期間生存することに基づいている。しかし、メモリー細胞がどのような分子基盤によって長期間生存することができるのかは依然未解明な点も多い。CD4T細胞はMHCクラスII分子に提示された特異的抗原をT細胞抗原受容体(TCR)によって認識すると、エフェクターあるいはメモリー細胞への分化を開始する。エフェクターCD4T細胞は比較的短命であるのに対し、メモリー細胞は骨髄のようなリンパ組織や臓器内に定住しより長期間生存する。最近の報告から、脂肪酸代謝がメモリーCD8T細胞の生存に深く関与していることが明らかになってきた。しかし、メモリーCD4T細胞の維持にどのような代謝経路が関与しているのかについての詳細は不明であった。 本研究から私はNotchシグナルがグルコース代謝の制御を介してメモリーCD4T細胞の長期維持に中心的な役割を担っていることを明らかにした。Notchシグナルを欠損するCD4T細胞では抗原刺激後に長期間生存することができないことを見出した。またリーシュマニア感染に対して抵抗性の免疫記憶や実験的自己免疫性脳脊髄炎で再発に関わるメモリーT細胞がNotchシグナルの抑制によって消退した。これらのことからCD4T細胞においてNotchシグナルはメモリー細胞の長期生存に深く関与していることが示された。さらに、メモリーCD4T細胞においてNotchシグナルはインスリン刺激に反応して亢進するグルコース取り込みを制御することで、細胞のエネルギー供給を担保していることを明らかにした。以上より、メモリーCD4T細胞の生存・維持にはNotchシグナルが必須であること、Notchシグナルの人為的調節による免疫疾患制御の可能性があることを示した。
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