2013 Fiscal Year Research-status Report
地域救急医療連携への影響要因の解明と支援技術の運用を通じた評価に関する研究
Project/Area Number |
24590617
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
山田 クリス孝介 佐賀大学, 医学部, 助教 (70510741)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阪本 雄一郎 佐賀大学, 医学部, 教授 (20366678)
本村 陽一 独立行政法人産業技術総合研究所, その他部局等, 副センター長 (30358171)
櫻井 瑛一 独立行政法人産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (50612173)
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Keywords | 救急 / 地域救急医療連携 / 病院前診療 / 救急システム / 可視化 |
Research Abstract |
本研究の目的は以下の3つである。[研究1]過去のデータを詳細に分析し、現状を把握すると共に、地域救急医療連携に及ぼすシステム導入の効果を明らかにする。[研究2]システム運用を通じて日々得られるデータから、地域救急医療連携を促進または阻害する要因を横断的および縦断的に明らかにする。[研究3]救急隊員と医療スタッフにユーザ評価を実施してシステムの問題点の抽出とユーザの作業負担を明らかにし、それらの評価に基づく持続可能なシステム更新の仕組みについて検討する。 今年度は、[研究1]においてシステム導入の平成23年4月から平成25年3月までの2年間のデータを分析し、システム導入前と比較して平均搬送時間の短縮と3次医療機関への搬送割合の減少が継続されていることを確認し、システム導入の効果を実証することができた。また、いくつかの疾患ごとの分析を実施し、地域別の頻度等を地図上にマッピングする可視化を行うことで地域救急医療体制の整備に資する結果を導出することができた。[研究2]においては、[研究1]と同様のデータを分析することにより、医療機関からのデータ入力が少ないこと、一般市民からのウェブ参照が少ないこと等から、地域救急医療連携の阻害要因の一因としてシステムのユーザインターフェースの問題が明らかとなった。また、地域社会や現場のニーズに応えるための分析が可能なデータが不足していることやデータ形式が整っていないことなどから、システムで得られてたデータによって地域救急医療連携を評価することに限界があることが明らかとなった。[研究3]においては、関係者へのインタビュー等から、依然としてデータの有効活用に至っていないという問題点が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
システム運用を通じて収集された過去2年分のデータからシステム導入の効果と地域救急医療連携の促進または阻害要因を明らかにすることができ、当初の計画通り進んでいると考えられる。一方、システムの実運用の中で取り組まれるという本研究の性質から、当初計画していた支援技術の運用が困難な情況となった。しかしながら、支援技術の開発に必須であるユーザからのニーズをインタビュー等から得られたため、計画はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
[研究1]および[研究2]に関しては当初の計画通り、システム運用を通じて収集されたデータから地域救急医療の現状把握と、地域救急医療連携の促進または阻害要因を縦断的に明らかにするとともに、[研究3]から派生的に得られた現場のニーズから地域別および医療機関別の疾患割合等をマッピングする可視化技術の開発を進めることとする。また、[研究3]については、ユーザからのニーズに基づいた支援技術を次年度(平成26年度)上半期までに開発し、下半期には評価可能な状態にまで推進させる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度に計画していたデータ可視化のプラットフォームの開発がシステムを実際に運用する中で実施困難となったため、現地調査のための分担者への配分を部分的にしか使用できなかった。 次年度の研究費の主な用途は、今年度(平成25年度)の研究成果を公表すること(学術論文の投稿および学会等での発表)と支援技術の開発とする。支援技術はプラットフォームの開発に比べて費用を要しないことが予想され、また開発内容から研究の要素が大きいと考えられるため業者への委託はしない。次年度は最終年度であるため、学会等での発表や支援技術を開発するための現地調査等のための旅費として主に使用する予定である。
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