2013 Fiscal Year Research-status Report
外国籍住民参加型の地域医療連携システムの構築:医療通訳者育成支援の試みから
Project/Area Number |
24590623
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
濱井 妙子 静岡県立大学, 看護学部, 講師 (50295565)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永田 文子 独立行政法人国立国際医療研究センター, その他部局等, その他 (30315858)
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Keywords | 地域医療学 / 外国人医療 / 医療通訳者 / 医療通訳者養成研修プログラム / 医療コミュニケーション / 異文化コミュニケーション / 在住ブラジル人 |
Research Abstract |
本年度は在住ブラジル人対象の医療通訳者養成研修プログラムを次のプロセスで実施した。(1) 対象者の募集と選定:静岡県内在住ブラジル人を対象に、研究プロジェクトのホームページと研究協力機関の広報を通じて対象者を募集した。応募者で選考試験を受験した者の中から応募条件を満たした28名を本研究の対象者とした。(2) 研修プログラムの実施:研修は「通訳基礎技術の基礎知識」、「医療に関する基礎知識」、「異文化に対する認識」、「医療通訳者の倫理」、「実践医療通訳技術」に関する内容を、講義・ロールプレイ演習・ワークショップの形式で行った。さらに、自己学習のツールとして研究プロジェクトのホームページに研修参加者専用ページを開設し、参加者と双方向通信を行い、研修内容を補完した。研修期間は8月から12月の5か月間とし、講義と実技演習を中心にした研修を9日間と医療現場での実務実習を3日間行った。対象者28名全員が研修を修了した。(3) プログラム評価のためのデータ収集・データ整理:研修プログラム中に3回(研修前、講義・演習中心の研修終了後、実務実習終了後)、医療知識に関する筆記試験と医療通訳者の実技試験を実施し、データを収集した。データ分析のためにテープ起こしとポルトガル語翻訳を依頼し、データ整理を行っている。(4) 対象者からのプログラム評価:全研修プログラムの終了後に、対象者にプログラム評価に関する質問紙調査を実施した。結果は概ね良好であるが、詳細はこれから分析する。(5) プログラム評価項目・指標の見直し:質的評価と量的評価の項目と指標を見直し、修正を行っている。(6) 対象者へのフィードバック研修の実施:学習効果の維持・向上を目的とし、研修プログラム中に実施した医療知識に関する筆記試験と医療通訳者の実技試験の結果、医療現場における実務実習報告の内容をフィードバックし、全員で情報を共有した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、在住ブラジル人対象の医療通訳者養成研修プログラムを実施し、プログラム評価のデータを収集するために、主に次の6つを実施する計画であった。(1) 対象者の募集と選定、(2) 研修プログラムの決定・実施、(3) プログラム評価のためのデータ収集、(4) 対象者からのプログラム評価、(5) プログラム評価項目・指標の見直しとデータ整理、(6)対象者へのフィードバック研修の実施。これらの達成状況については研究実績の概要に記述したとおり順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度には、研修プログラムの有効性をプロセス評価とアウトカム評価により実施し、問題点を抽出し、専門家と意見を交換しながら、プログラムの改善案を検討する。そのために平成25年度に収集したデータを吟味し、十分に解析する時間を設けて研究目的を達成する。研究成果は、学術集会や学術誌に公表し、報告書をとりまとめる。研修修了者には、継続的に医療通訳に関するQ&Aサービスや修了者のニーズにあわせて専門的な勉強会を企画し、研修修了者のスキルアップの維持・向上に努めるなど、研修修了者に対するフォローアップを継続して実施する。 以上のことから、今年度の研究費使途は、3回目の医療通訳者実技試験の日本語、ならびに、日本語・ポルトガル語のテープ起こしと翻訳にかかる謝礼、情報収集のための旅費、英文校閲費、研修会講師の謝礼を計画している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の計画では研究対象者20名で予算を試算していたが、応募人数が予測以上に多く、対象者選考試験の受験者34名のうち応募条件を満たしていた28名を研究対象としたため、40万円の前倒し支払請求を行った。その費用は計画通りに使用したが、研修修了者に対するフィードバック研修への参加者の交通費実費が予定額より少なかったため、次年度使用額が発生した。 平成26年度に必要な経費は次のとおりである。なお、平成25年度分で翌年度分として請求した使用額は文献複写費などの消耗品費用にあてる予定である。(1) 医療通訳者実技試験の日本語、ならびに、ポルトガル語のテープ起こしと翻訳にかかる謝礼 約14万円、(2) 研究分担者・研究協力者との打ち合わせなどの旅費 約6万円、(3) 専門分野に関する情報収集のための旅費 約5万円、(4) 英文校閲費 約8万円、(5) 研修修了者に対する研修会講師の謝礼 約5万円、(6) その他消耗品 約2万円。
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Research Products
(4 results)