2012 Fiscal Year Research-status Report
活性酸素消去能に優れる白金ナノ粒子のDDS開発と転移性肝癌治療への応用
Project/Area Number |
24590670
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
勝見 英正 京都薬科大学, 薬学部, 助教 (30434666)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 昌 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (00166779)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 薬学 / 薬剤学 / 薬物送達システム / ナノ粒子 / 白金 / 活性酸素 / 肝転移 / 肝疾患 |
Research Abstract |
本研究は、癌転移の病態の進展に活性酸素種が関与している点に着目し、活性酸素消去能と体内動態特性に優れた白金ナノ粒子を利用した転移性肝癌治療システムを開発することにより肝転移治療の改善と癌患者のコンプライアンス・QOL の向上を目指すものである。 平成24年度では、物性が異なる種々の白金ナノ粒子を作製し、それらの活性酸素消去効果及びマウスにおける体内動態特性を評価した。すなわち、白金ナノ粒子は塩化白金イオンを還元剤と反応させることにより作製した。反応比率を調整することにより粒子径の大きい白金ナノ粒子 (large Pt-NP)、粒子径の小さい白金ナノ粒子 (small Pt-NP) の2種類のPt-NPを作製した。作製したPt-NPはいずれも活性酸素種である過酸化水素、スーパーオキサイドアニオン及びヒドロキシラジカルに対し、顕著な消去効果を示すことが明らかとなった。 マウス静脈内投与後の各種Pt-NPの体内動態をICP-MSを用いて評価したところ、Pt-NP はいずれも急速に血中から消失し肝臓中に移行することが明らかとなった。特に粒子径の大きいlarge Pt-NPは効率よく肝臓に取り込まれた。Pt-NP 静脈内投与後の肝臓を摘出し、肝臓内分布を詳細に評価したところ、Pt-NPはクッパー細胞や血管内皮細胞などの肝臓非実質細胞に主に分布していることが示された。肝転移の病態の進展にはクッパー細胞等からの活性酸素種の産生が寄与していることから、Pt-NPは肝転移治療に有利な体内動態特性を示すことが明らかとなった。 以上、活性酸素能と体内動態特性に優れた白金ナノ粒子を作製することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度では、物性が異なる種々の白金ナノ粒子を作製し、それらの活性酸素消去効果及びマウスにおける体内動態特性に応じて白金ナノ粒子の物性を最適化することを目標としていた。これまでに、作製した白金ナノ粒子が各種活性酸素種を効率よく消去すること、マウス静脈内投与後の体内動態評価において標的部位である肝臓に急速に移行することを明らかにしており、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度では、活性酸素消去能および肝臓指向性に優れた白金ナノ粒子を作製することに成功した。 そこで平成25年度以降では、白金ナノ粒子の転移性肝癌における有効性と安全性を評価する。すなわち、肝転移抑制効果は遺伝子導入で細胞標識した癌細胞を用いてin vivo imagingにより評価を行う。具体的には、ホタル・ルシフェラーゼ遺伝子をコードしたプラスミドDNAを導入することによりルシフェラーゼ安定発現細胞株を作製し、その細胞をマウスに門脈内投与することにより肝転移モデルマウスを作製する。当該マウスを用いて白金ナノ粒子静脈内投与後の肝転移抑制効果を評価する。白金ナノ粒子による治療効果を明らかにすることができれば、白金ナノ粒子の安全性についても評価を行い、有効性と安全性のバランスに優れた白金ナノ粒子を創製していきたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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