2013 Fiscal Year Research-status Report
治療効果予測困難な現行のEGFR抗体治療における新規予測検査法の開発
Project/Area Number |
24590674
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
畑中 豊 北海道大学, 大学病院, 特任講師 (30589924)
|
Keywords | 分子標的治療 / コンパニオン診断 / 大腸癌 |
Research Abstract |
本研究は,大腸癌の抗EGFR抗体治療において未だ規定できない効果予測因子を明らかにするために,抗体治療薬によって検出される標的分子の組織発現解析法を構築し,治療薬の組織結合部位の特定を行うと共に,治療効果との関係性を明らかにし,さらに新規の効果予測検査法を確立することを目的としており,本年度は以下の2課題に取り組んだ. [1] 抗EGFR抗体薬既治療のKRAS/NRAS/BRAF野生型EGFR陽性大腸癌におけるCTX-EGFR検出法による治療効果予測に関する前向き観察研究:本研究で開発したセツキシマブを用いたEGFR IHC検出法(CTX-EGFR検出法)に用いる症例選択を国立がん研究センター中央病院の協力を得て行った.当初EGFR陽性・KRAS野生型大腸癌症例を抽出する予定であったが,NRAS変異等が治療抵抗性に関わることが最近の臨床試験で明らかとなったことから,KRAS/NRAS/BRAF野生型EGFR陽性大腸癌の抽出を行った.変異解析はサンガー・シークエンス法により行い,32例が抽出された. [2] KRAS/NRAS/BRAF野生型大腸癌細胞株を用いた新規効果予測マーカーの探索:抗EGFR抗体治療薬に対し治療感受性を示すKRAS/NRAS/BRAF野生型のSW48細胞およびこの細胞に治療抵抗性を示すKRAS変異(G12D)をknock-inしたSW48/G12D細胞,さらにCTX結合との関連性が確認されたEGFR増幅状態をmimicするためそれら細胞へEGFR遺伝子をそれぞれ導入したSW48/EGFR細胞およびSW48/G12D/EGFR細胞の4種の細胞株の作製を行った.SW48細胞およびSW48/G12D細胞を入手後,pCAGGS発現ベクターにhEGFR遺伝子を組み込み,両細胞にそれぞれ遺伝子導入した.これまでにそれぞれ安定発現細胞株15クローンが得られた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究目的の達成のため,2年目にあたる平成25年度は上述のように,[1] 抗EGFR抗体薬既治療のEGFR陽性・KRAS/NRAS/BRAF野生型大腸癌におけるCTX-EGFR検出法による治療効果予測に関する前向き観察研究,さらには新規に[2] KRAS/NRAS/BRAF野生型大腸癌細胞株を用いた新規効果予測マーカーの探索を計画した. [1]における最大の課題は,抗EGFR抗体治療に抵抗性を示す変異パターン有する症例を除外し,検討を実施することであった.そのため当初除外対象としていたKRAS変異に加え,最近抵抗性を示すことが明らかとなったNRAS変異およびBRAF変異も除外対象として追加し,これらを有さないKRAS/NRAS/BRAF野生型を示すEGFR陽性大腸癌症例で,且つ抗EGFR抗体治療が行われ,その予後追跡が実施された症例の選択することとした.症例選択に時間を要したことが影響し,当初予定していたCTX-EGFR検出法を用いた解析を本年度中に完了させることができなかったものの,32例が抽出できた点は評価できるといえる. 一方[2]については,[1]の研究計画の遅れを鑑み, 次年度から開始予定であったCTX-EGFR検出結果をサロゲートする新規効果予測マーカーの探索を開始した.昨年度の結果からCTXの結合とEGFR遺伝子増幅の間に相関性が認められたことから,KRAS/NRAS/BRAF野生型を示すSW48細胞およびSW48/G12D細胞にEGFR遺伝子を導入したSW48/EGFR細胞およびSW48/G12D/EGFR細胞の4種の細胞株の作製に着手した.当初の計画より早く,本年度中に安定発現細胞株の樹立の目処が立った点については評価できるといえる. 今年度の研究の進捗については,一部着手内容を変更したものの概ね当初の実験計画通り進行したといえ,区分を(2)とした.
|
Strategy for Future Research Activity |
3年目にあたる平成26年度においても,上記2課題について継続実施を行い,以下の2点について検討する. ①KRAS/NRAS/BRAF野生型・EGFR陽性大腸癌におけるCTX-EGFR検出法による治療効果予測の可否について明らかにするため,前向き観察研究を実施する.EGFR-CTX解析およびEGFR遺伝子増幅解析により判定を行ったEGFR陽性群および陰性群間での抗EGFR抗体治療における生存時間解析を行う. ②KRAS/NRAS/BRAF野生型・EGFR陽性株であるSW48細胞とその遺伝子改変細胞であるSW48/G12D 細胞,SW48/EGFR細胞,SW48/G12D/EGFR細胞の4種の細胞株を用いて,遺伝子発現解析を行い発現プロファイルの中からSW48細胞もしくはSW48/EGFR細胞特異的な効果予測候補分子の探索を行う.またこれら細胞株の低分子キナーゼ阻害薬に対する薬剤感受性を検討する. 最終的にこれら結果をとりまとめ、成果発表を行う.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記[1]のCTX-EGFR検出法を用いた解析,上記[2]のKRAS/NRAS/BRAF野生型を示すSW48細胞およびその遺伝子改変細胞を併せた4種の安定発現細胞株樹立作業等,一部次年度に行うこととしたため,次年度使用額が生じた. 本年度同様,次年度も主に物品費に充てる予定であり,費目別には以下のように計画している.【物品費】CTX-EGFR検出や遺伝子改変に必要な試薬,EGFR遺伝子増幅解析に必要となる試薬を購入する予定である.その他の消耗品として免疫組織化学研究用試薬,細胞培養用試薬,ウエスタンブロッティング解析など生化学研究に使用する試薬を購入する予定である.一方,設備備品費は,研究代表者が所属する部門に主要な研究設備が整っており,新たな設備備品の購入は考えていない.【旅費】情報収集や成果発表のため国内外の学会へ参加予定である.【人件費・謝金】該当なし.【その他】本研究で得られた成果を,学会誌等へ投稿することを予定している. 研究推進にあたっては,計画に基づき実験を進めていき,研究費を有効活用したい.
|
-
-
-
[Journal Article] Differential expression of progesterone receptor, FOXA1, GATA3, and p53 between pre- and postmenopausal women with estrogen receptor-positive breast cancer.2014
Author(s)
Hosoda M, Yamamoto M, Nakano K, Hatanaka KC, Takakuwa E, Hatanaka Y, Matsuno Y, Yamashita H
-
Journal Title
Breast Cancer Res Treat
Volume: 144
Pages: 249-61
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-