2013 Fiscal Year Research-status Report
NADPHオキシターゼとスタニオカルシンを用いた乳癌の新規転移マーカーの開発
Project/Area Number |
24590700
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
田中 真樹 札幌医科大学, 医学部, 助教 (40207139)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 直樹 札幌医科大学, 医学部, 教授 (10158644)
小林 大介 札幌医科大学, 医学部, 講師 (50295359)
栗林 景晶 札幌医科大学, 医学部, 講師 (50381257)
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Keywords | stanniocalcin / NADPH oxidase / 転移能 / 浸潤能 |
Research Abstract |
腫瘍細胞の転移能に影響を及ぼす因子の一つに、NADPH Oxidase(Nox)により産生される活性酸素がある。Noxの中でも細胞内カルシウムで活性化されるのは、Nox5とDuox のみである。一方、細胞内カルシウムを調節するStanniocalcin-1(STC-1)が、各種腫瘍細胞で高発現することが明らかとなっている。そこで、本研究ではSTC-1がNox5とDuox を活性化させ、活性酸素の産生を高め、乳癌細胞の転移能を増強させる可能性について検討している。既に7種の乳癌細胞を対象として、細胞間で発現量の差異はみとめられるものの、全例でSTC-1、2 例で Nox5 の発現を確認した。そこで、ヒト乳癌細胞株のMDA-MB-231を用い、全長(分泌型)STC-1発現細胞(MB231-S)を作製し、STC-1が転移能に及ぼす影響を検討した。 MB231-S細胞の浸潤能は、対照細胞(MB231-M)と比べ有意に亢進した。浸潤能は、細胞増殖能、運動能、接着能や基質分解能の総和であるが、MB231-S細胞では運動能のみが高まっていた。さらに、両細胞をマウス尾静脈から投与すると、MB231-S細胞の肺転移結節数はMB231-M細胞と比較し増強した。 STC-1による運動能亢進が、細胞内、細胞外あるいは両者のうち、どのシグナル伝達で起こっているのか解析するため、非分泌型STC-1発現細胞(MB231-NS)を作製し検討した。その結果、MB231-S細胞でのみ運動能の亢進がみられた。さらに、各細胞の培養上清を親細胞であるMDA-MB-231に添加すると、MB231-S細胞のそれのみが運動能を高めた。すなわち、STC-1は細胞外からのシグナル伝達を介し、運動能を亢進させることが証明された。上記の成果をClin Exp Metastasisに投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
STC-1に関しては、乳癌細胞における発現解析、運動能、浸潤能およびその機序を検討など、前述したとおり順調に進んでいる。乳癌患者の原発巣および所属リンパ節を用いたSTC-1の免疫染色に関しては、数種類の抗体から特異的なものを選択し、濃度および反応時間等の条件も決定し、現在、解析中である。 Nox5およびDuoxについては、mRNAの発現解析は行ってるが、siRNAのノックダウン効果の検討は結果が得られていない。また、Nox5発現ベクターは作製され遺伝子導入を行い細胞運動の解析を直ちに行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画書に記載した方針に従い、特に大きな変更は無く、研究を遂行する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
一部の研究が、平成25年度と平成26年度の両年度で行う予定であるため。 次年度使用額728,017円は、上記の研究を推進するため、試薬・薬品、実験用硝子製品および実験用プラスチック製品の購入に用いる予定である。
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