2014 Fiscal Year Annual Research Report
肺癌における幹細胞複製分子の発現解析と新規治療標的への応用
Project/Area Number |
24590701
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
小林 大介 札幌医科大学, 医学部, 講師 (50295359)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 直樹 札幌医科大学, その他部局等, 名誉教授 (10158644)
田中 真樹 札幌医科大学, 医学部, 助教 (40207139)
栗林 景晶 札幌医科大学, 医学部, 講師 (50381257)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 肺癌 / 幹細胞複製分子 / 治療標的 / 耐性予測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、幹細胞複製分子群が、非再生性臓器である正常肺では殆ど発現しない点に着目し、肺癌に特異性が高いマーカーの同定と治療標的への応用が可能か否かについて検討してきた。
最終年度では、1)肺癌細胞へのSALL4 siRNAの導入により、極めて低濃度のCDDP、CBDCAおよびPTXに対し感受性増強がみられた。つまり、これまで副作用が強いために投与量を低めに設定せざるを得なかったプラチナ系やタキソール系の効果増強に、SALL4が標的分子として有用であることを明らかにできた。2)また、症例数に一定の限界はあるものの、術後化学療法後の再発群の方が非再発群に比べ、SALL4遺伝子の高発現例が多いことも見出した。さらに、SALL4遺伝子発現の高い症例ほど早期再発する傾向も確認された。3)SALL4による抗癌剤耐性の機序を調べるため、発現ベクター導入細胞を作製しマイクロアレイ解析とRT-PCR法で変動遺伝子を解析した。その結果、現状で意義不明の3分子を除き、IL-6が耐性を惹起している可能性が示唆された。
すなわち、SALL4は肺癌の抗癌剤耐性を誘導しており、発現の高い症例では自然耐性が予測されるため、その克服に向けSALL4発現抑制による新規治療法の開発が可能であると言える。本研究は、研究期間全体を通して当初の計画に沿ってほぼ順調に進行し、肺癌における新規治療標的のみならず、新規抗癌剤耐性予測ツールを同定可能であった。
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Research Products
(2 results)