2014 Fiscal Year Annual Research Report
骨盤臓器におこる疼痛が交感神経反射により膀胱過活動を発生する機序
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24590722
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
河谷 正仁 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00177700)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮井 和政 関西看護医療大学, 看護学部, 准教授 (60283933)
善積 克 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70553379)
伊藤 登茂子 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50241675)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 下腹神経 / 会陰神経 / 骨盤神経 / 過活動膀胱 / プロスタグランジン / カプサイシン |
Outline of Annual Research Achievements |
下腹神経節で腰部交感神経の節前線維は遠心性のシナプス(アセチルコリン性)を形成し、下腹神経を介して膀胱に終末している。膀胱底部の平滑筋にはβ受容体を介して弛緩を、内尿道部の平滑筋のα受容体を介して収縮をさせる。下腹神経には膀胱のほか、子宮や直腸からの求心性線維が含まれるがHRPによる逆行性標識によるシナプスを検討したところ、腰部の脊髄神経節細胞や脊髄には標識されず、両側の下腹神経節細胞が標識された(同側100%、反対側75%)。下腹神経を剥離し電気刺激すると反対側の下腹神経に放電が認められた(ソコウニン反射)。一方この電気刺激は下腹神経節の交感神経によるシナプス伝達を抑制した。仙髄の脊髄神経(S1-S3)を両側性に切断し、膀胱内にカテーテルを挿入し生理食塩水注入と内圧測定を実施した。一側の下腹神経を中央で切断してそれぞれの段端から放電の変化を記録した。膀胱内圧の上昇は20cmH2O以上になると末梢端で放電頻度が上昇した。また、中枢端では自発放電は記録されず、通常と同様なシナプス伝達が記録された。膀胱内に酢酸(0.1%)を注入し拡張させると、末梢端での放電上昇閾値は10cmH2Oに低下し、放電数の上昇も顕著であった。中枢端ではシナプス伝達の大きさの抑制が長期に認められた。子宮への電気刺激(30V、30Hz、2分)でも子宮内にPGE2(10-5M)を注入しても同様の変化が記録された。一方、直腸の拡張(60cmH2O)やPGE2(10-5M)の注入では神経放電の変化が認められなかった。したがって、下腹神経による膀胱の蓄尿活動は下腹神経求心性線維の活動が活発になると、下腹神経節のシナプス伝達を抑制し、蓄尿活動が弱まることが明らかとなった。
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